新人が配属されて、その教育係に指名されたときに、何をしようと思いますか?
多分、会社によりいろいろでしょうけど、自分が一番気に入っているやり方は、
ノートを書いてもらって、それをチェックする
というやり方。
■業務指導にはフィードバックが必要
通常、製造の仕事は、作業手順を決める人が手順書を作り、その手順書を見せながら、実際に作業者に作業をしてもらって、それをチェックするというやり方をします。
つまり、作業方法を決める人が作業の詳細を書く、というのが普通です。
ただ、間接業務(直接ものを作るのではなく、ものを作るサポートをする業務)になると、多くの会社では作業の手順書がありません。これはサボっているわけではなく、業務が多岐にわたりすぎなのと、その人のもっとも効率のいいやり方でやるのがいいから作れないんですね。
たとえば、組立作業なら、
・右においてある電動ドライバを持ち上げて
・左手でネジをとって
・電動ドライバにくっつけて、ネジ穴に直角に押し込みながら
・電動ドライバのスイッチをONにする
・電動ドライバが回らなくなったらスイッチをOFFにして
・ドライバを元の位置に戻す
って書けばいいわけですが、商談にいくのに、
・見積書を右手に持って
・カバンのフタのロックを開けて
・フタを開けて、横向きにカバンに挿入して
:
:
なんて作業の仕方が書いてある会社はないでしょう(あったらごめんなさい)。
いきおい、仕事のやり方は口伝(くでん)になりがちです。
つまり先輩から後輩へ、その後輩からさらにその後輩へと伝承されていくんですね。
ところが最初の先輩が、何世代か後の後輩の仕事のやり方を見たら全然違っていたなんてことも少なくありません。テクノロジーが変化した部分もあるでしょうけど、本来の意図とは違ったことをやっていたみたいなことも、ママあります。
「なんで、これをしないといけないのか」
が伝わらずに、やることだけが伝わって、それを受けた人が目的を考えずに、効率化してしまうと、たいてい変な暗黙のルールが出来上がります。
だから、「何を教えたか」ではなく、「何を教えられたか」が重要なわけです。
そのために、会社というのは、「報告書」みたいなルールもありますけど、これが一番形骸化しやすい。それよりも重視した方がいいのが、教えられる人のノート・メモです。
報告書には通常表面的なことしか書きません。それでは、どう伝わったのかがわからないんですね。
なので、私は時々「今、私が説明したことを、あなたが書いて持ってきて」と言います。特に重要だと思うことは、「これから言うことをメモしてください」と言っておいて、あとで、「そのメモを見せて」と要求します。
たいていの人には2回、3回と説明するハメになりますが。
ただ、本来、その人がどう理解したかは、全てを書き出さないとわからないので、本書『図解 仕事ができる人のノート術』のように、1日に書いたノートの全てを添削するという教育が必要なのでしょうが、流石にそれでは負担が大きいので…
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三井物産から関係会社に営業部長として出向していたことがある。
その会社では新年度になると、数か月間の研修を終えた新人社員が 2 名か 3 名、私の元に配属されてきた。
着任の日、まず部長の私のところに挨拶に来る。
挨拶のあと、すぐに私は引き出しに用意していた新しい A5 サイズのファイルノートを新人たちに 1 冊ずっ手渡す。
「さて、君たちのこれから 3 か月問の仕事は、このノートに毎日業務日誌を書くことだ。これからも研修とか、議事録とか、書くことはたくさんある。今後仕事をしていくかぎり、このノートを手放してはならない。いいね」
「はい」と一同。
「そして、一番大切なことは、毎日 1 ページの業務日誌を書くこと。このノートの 1 枚分にー行も空けてはならない。すべて埋めて書くことだ。それを毎日帰宅前に、君たちのマンツーマンリーダーに提出する。課長、次長、そして私か、下の欄外に小さくコメントを書き、判を押す。わかりましたか」
一同「はい]
:
:(中略)
:
毎日、厳密に新人の業務日誌を読み、赤ペンでコメントをつける。
これを数か月続けているだけで、新人の文章力がめきめきとついてくるのがわかる。
大学でもこれくらいのことをやってよさそうなものだ。
わが部には、 A5 ノートを新人研修以来、ずっと続けて使っている部員がたくさんいて、彼らの机の下はノートだらけだった。彼らの宝物である。
私はノートを使う彼らに、「ノートを入社の日からずっと使い続けて、全部残せれば、これは大変なことだ。長い会社生活では大きな糧になるよ」と言うのが癖だった。
新人に対して、会社は数週間ずつ追加の技術研修をするが、そんなときにもわが部員は自分のノートをきちんと持参し、「徹底的に議事録を書いて来るんだ」という私の指示で、彼らのノートには技術の内容がびっしり書きこまれて、開催している技術部が驚くほどだった。
配布される資判は、すべてきれいに貼り利け、カラーのマーカーでポイントを指摘したノートは、すばらしく美しいものになっていた。
今年の新人たちは、来春は新人でなくなり、吹の年の新人にノートを見せることになる。
(著) 『図解 仕事ができる人のノート術』
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さすがにここまではムリですが、新人の頃にこういうことを叩き込まれた人は、多分仕事もできそうな気がします。
■参考図書 『図解 仕事ができる人のノート術』
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