野球でいえばサヨナラ満塁ホームランなんて打てたらかっこいいですよね。
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●シングルヒットを打つ(期待に応える)
すべてができるわけではないのだから、しようとしないこと。すべきことだけを、きちんとする。ホームランを狙って、十打席のうち九打席で三振に終わるより、コンスタントに一塁に出るほうがずっといい。
私がマッキンゼーに入ってまもなく、ニューヨーク支社で州北部のリゾートで合宿研修会があった。
ある日、私たちアソシエートは、ゴルフやら、ペイントボールゲームやら、ワイン・テイステイングやらの大変な訓練を中断して、講演を聴かなければならなかった(そう、ああいうところでは仕事も多少はしなくてはならない)。
講演したのは、マッキンゼーのクライアントである、エレクトロニクス関係の大企業の CEO だった。
マッキンゼー卒業生でもあるこの人の話の趣旨は、「場外ホームランを打とうとしてはならない。シングルヒットを打て。自分の仕事を着実にする。チーム全体になり代わって仕事をしようなどと考えない」ということだった。
私は驚いた。マッキンゼーのアソシエートはそれまでの人生を「場外ホームランを打ちっばなし」で生きてきた。
学校ではすべて最優秀の成績を修め、さらには、別の仕事での立派な成果をひっさげてここに来ている。
マッキンゼーの最初の面接を通過するだけでも、洞察力が鋭くて懐疑的なコンサルタント集団を感心させなければならなかったのだ。
ようやくファームに入ったらシフトダウンしろなんて、ほとんどのアソシエートにとって奇異に聞こえた。もしかしたら不愉快にさえも……。この CEO の英知を私が本当に理解できたのは、その後数年たって、私なりの全体的視野ができてからだった。この人が正しかった理由は三つある。
・いつも一人ですべてをするのは不可能だ。
・一度それをしてしまうと、周囲に非現実的な期待を生む。
・その期待に一度でも応えられないと、信用を取り戻すのは至難の業である。
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:(中略)
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子どものころ、とてもいい野球ゲームをもっていた。
当時の選手(カール・ヤストルゼンスキ、サンデイ・クウフアクス、ロべルト・クレメンティ)や伝説の野球選手(ルース、コッブ、ディマジオ)のなかから好きな選手を選んで自分のチームをつくれる。
選手はそれぞれ円形の厚紙で、シングルヒット、二塁打、三塁打、ホームラン、三振など、その選手の実際の成績にしたがった大きさに分けた円グラフになっている。
その円の中心に、先端が矢印になっている小さな棒をあてて、まわして遊ぶ。倒れた棒の矢印が指しているところがその選手のその打席の結果になる、というわけだ。
そのゲームでよく憶えているのは、ルース、ディマジオ、アーロンといったホームラン王はみんな三振ゾーンもいちばん大きかったことだ。
目的に向かって必死で努力して、そして、失敗するなら華々しく失敗するんだ、などと言うのもいいだろう。マーク・マグワイアなら、ホームランを飛ばしつづけるかぎり、いくら三振してもまったく構わない。しかしビジネス界では、シングルヒットを出しているほうがずっとうまくいくものだ。
イーサン・M. ラジエル(著) 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』
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大きな成果を出すためには、かなりの努力をしないといけません。それでも、成功するかどうかは時の運が左右します。バクチ。
小さな成功はちょっとした工夫で達成できる確率が格段に上がります。
株の売買やFXなどをやったことがある人はわかると思いますが、10円とか100円とかの利益を出すのは、ちょっと上がったらすぐ売り抜けてしまうので、トレンドに乗っかってさえいれば勝率は割合高いものです。一方で、1回のトレードで×万円とかの利益を出そうとすれば、トレンドが出る前にエントリして、トレンドの終わりの瞬間に決済するような売買方法をしないと利益は大きくなりません。
■大きく賭けるのはリスクも大きい
大きな成果を出そうと思えば、「売上を10倍にします」とかやって、根本的に販売の方法を変えていかないとできませんが、「1%だけ上乗せします」なら、顧客訪問数を10件増やせば可能かもしれません。仕切値をちょっと変えるだけでも可能かも。
そして、最大の問題は、一度でも目を瞠るような成果を出した人は、「次も」と期待されるということです。
サラリーマンの評価は、過去の実績と将来の期待値で決まるので、期待値が大きければ、たとえ過去を上回ったとしても期待値を下回れば評価を下げる原因になります。
「アイツはあんなもんじゃないはずだ」
なんて言われたら、プレッシャーで「できもしない目標を言わされる」はめにもなりかねません。
同期どころか先輩もぶち抜いて昇進していきたいなら、それをやらないといけないかもしれませんが、そこまで気概があるなら、「独立でもしたほうが」とその他大勢のサラリーマンである私は思っちゃいます。
■小さな成功をコツコツ
たとえば、みんなが 5% の改善をするなら、5.1% の改善をすればトップはとれます。なにも、「2倍にする」なんて無理しなくてもいいわけです。
「小さな成功」の定義は、周りの状況によりますが、「ヒットを打ち続けること」を目標にしたほうが、凡人には狙いやすいかも。それでも成功と失敗はあるとはおもいますが、「失敗の確率が低い」とか「失敗時のダメージが少ない」のほうが好ましいと考えるのは、所詮凡人だからでしょうかね。
本書『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』には、マッキンゼーという世界でとんでもない会社の、平々凡々たる仕事のコツが書かれています。
これだけでなく、レベルの高い人が地道に成果を上げ続けることで世界最高になってしまう仕事術。恐るべし……
■参考図書 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』
立ち読み可 | 本書は、2つの貴重な意味を持っている。ひとつは、これまで謎に包まれていた世界的なコンサルティング会社マッキンゼーの仕事や組織、経営について、その一端を明らかにしていること。つまり、マッキンゼーそのものがテーマになった本である点だ。もうひとつは、彼らがビジネス経営問題をどのように解決するかを書いていること。つまり、世界中から集められた、きわめて優秀な「仕事師」たちの思考やテクニックを教えてくれている点だ。著者はマッキンゼーで3年間働いた元社員。そこでの経験と、同社を退職した人々へのインタビューから本書を書き起こしている。 本書の主要部分は、ビジネスの問題をどう考え、解決に向けてどんな方法をとり、そして解決策をどう売り込むかという、実際に彼らがコンサルティングを進める手順に沿って展開されている。いわゆる「マッキンゼー式」の真髄は、その最初の段階の「事実に基づき」「厳密に構造化され」「仮説主導である」という3つの柱で示されている。なかでも、問題を構造的に把握して3つの項目に集約させるテクニックや、まず仮説を立て、証明や反証を重ねながら正答に導くプロセスは、ビジネス思考の究極のモデルになるものだろう。 一方で、チームの編成、リサーチ、ブレーンストーミングの各方法や、「売り込みをしないで売り込む方法」など、すぐに応用できる実践的なテクニックも数多く紹介されている。多忙を極めるCEOに30秒でプレゼンする「エレベーター・テスト」や、毎日1つチャートを作るといったユニークなトレーニングもある。また、彼らのストレス対処法やキャリアアップの方法などもスケッチされていて、彼らの「生身」の側面をうかがい知ることができよう。 マッキンゼーの人々の仕事に対する思考やテクニックが、見事に描き出された1冊である。一読すれば、ビジネスにおける強靭な精神と、すぐれた知性の源泉に触れた気になるはずだ。 |
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マッキンゼー式 世界最強の仕事術 著者 :イーサン・M. ラジエル | 楽天では見つかりませんでした | マッキンゼー式 世界最強の仕事術 検索 :商品検索する |
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いつ終わるのかを言う
矛盾す複数の問題を一気に解決する「インクルージョン思考」
嫌なことは、「もし気分がよかったら」で切り替える
通勤どこでも仕事術:毎日5分だけ勉強確保できる確実な方法
マッキンゼー式世界最強の仕事術:ブレーンストーミングで最大の効果を引き出すテクニック
今日学んだことを3つ上げなさい
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少しだけの成功を積み重ねる
かっこいいグラフを作れるテンプレートChartChooser
「わかりません」にはしつこく食らいつく
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