プロ棋士は、これをほぼ全部記憶しているそうです。ある局面を見せられると、その前後に打った手を再現することなど簡単なのだそうな。
ところが、ど素人が打った棋譜は全く覚えられないらしいです。ここに記憶術のヒントがあります。
■パターンを見極めて覚える記憶術
プロ棋士は、ある局面を見たときに、次にどのようなパターンが考えられるかを膨大に覚えています。
そのパターンがわかっていれば、無限大にある「ルール上に可能な打ち手」ではなく、非常に限られた打ち手だけに集中すれば良くなります。これが棋譜を覚えるコツらしいです。
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どんな行動をするときにも、パターンで覚えなければなりません。
A というケース、 B というケース、 C というケースというように、それぞれの状況に応じて、どのような行動をとるのが最適なのかを覚えていくのです。
バラバラに覚えないことが大切です。公文式学習法などでは、類似している問題をとにかくたくさんやらせることで、足し算や引き算を教えていきます。
類似している問題をやらせるのは、いわば「パターン」を認識させる学習法だといえるでしょう。
パターンを覚えさせれば、どういう計算のときに、どういう答えを導き出せばいいのかが、すぐにわかるわけです。
徹底的に類似の問題に取り組んでいると、自然にパターンが見えてきます。
もし、パターンが認識できないとすれば、それは取り組みが足らないのです。
頭のよしあしに関係なく、たくさんの問題をやれば、パターンが見えてくるでしょう。あるコンサルティング会社では、どんなに新しく見える課題を相談されたときでも、「必ず、過去の事例の中にヒントがある」と考えて、データべースの中から適切な事例を探し出してくるそうです。
そして、かつて利用した戦略や解法を使って、新しい顧客の相談に対応しているといいます。
これも、一つのパターン学習だといえるでしょう。
ダメなコンサルタントは、相談事を持ち込まれると、その問題の「新しい点」ばかりを発見しようとしますが、優秀なコンサルタントは、「過去の事例との類似点」を探ろうとします。
そのほうが、時間も労力もかけずに解決することができるからです。
メンデルスゾーンは、 17 歳のときにべートーべンの交響曲第 9 番の初演を聴きに行って、コンサートから帰ってくるなり、全曲を楽譜に書いてみんなを驚かせたという逸話が残っています。
おそらく、メンデルスゾーンの頭の中にはきちんとしたパターンができていて、そのパターンで記憶したのでしょう。いったんパターンを覚えてしまえば、大変な思いをすることなく、とても簡単に記憶することができるのです。
伊藤真(著) 『記憶する技術』
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■大事な問題は覚えている
いま、自分にとって大事な問題(仕事であれ私生活であれ)を言え、と言われたら、説明の上手い下手や着眼点の大小はありますが、大抵の人は、その場で言うことが出来るでしょう。
これは何故かと言うと、繰り返し考えていたからです。
覚えたいと思うなら、最も単純な方法は、繰り返すことです。
本書のように、「パターン化する」までもなく、繰り返し考えたり、書いたりすれば、いやでも覚えます。
これは、脳科学でも証明されているそうで、短期記憶から長期記憶にもっていくためには、短期記憶からワーキングメモリに取り出して、また短期記憶に入れる、という操作を繰り返すことでその記憶が定着するのだそうです。
なにも工夫はいりません。単純に繰り返していれば、勝手に覚えてくれるので。
■物事には抽象概念がある
あらゆる物事には、それを構成する抽象的な概念があります。
その概念パターンを理解してしまえば、その概念の現実化としてトリガとなるキーワードさえ覚えていれば、あとはパターンに当てはめてしまえば簡単に記憶を再現できます。
そのためには、上記のように、繰り返し考えることです。
「抽象化すること」などと考えると、大抵はろくなことにはなりません。
抽象的なことは考えるのが難しいからです。
そういったところにとらわれず、繰り返し考えるという行為を繰り返すことによって、自然とその事象が抽象化されます。一旦抽象概念ができてしまえば、あとは現実問題をその抽象概念に当てはめるだけで、理解したり記憶したり出来るようになりますので、まずは「ひたすら繰り返す」ことです。
■参考図書 『記憶する技術』
記憶力は、一生、鍛えることができる。司法試験界の「カリスマ塾長」として知られる、「伊藤塾」塾長の伊藤真氏は、こう断言する。
日本で最難関の試験といわれる司法試験に合格するためには、膨大な量の事柄を覚え、それを使いこなすことができなければならない。
60歳を過ぎてから勉強を始めて、合格する人もいる。
その人たちは特別なのかといえば、そんなことはない。
「記憶する技術」をもっているかどうかである。
それはたとえば、記憶を効果的に定着させたり呼び覚ましたりするためのコツや、記憶する対象に関心をもつといった意識のことである。
本書では、これまで多くの塾生を指導してきた中で、また著者自身が実践してきた、「記憶」を自由自在にコントロールする方法を伝授する。
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記憶する技術 著者 :伊藤真 | 楽天では見つかりませんでした | DMMでは見つかりませんでした |
●関連 Web
記憶力を養えばストレスフリーな生活が!伊藤真『記憶する技術』
『記憶する技術』天狼院書店
●本書を引用した記事
記憶術:休み休み、繰り返し
記憶術:意味付けをする
オフラインモードで内面刺激を受ける
記憶術:ガムを噛むと記憶力がよくなる
記憶術:バロック音楽をBGMにする
記憶術:ネットワークを作る
記憶術:イメージ記憶法で絵にする
記憶する技術:呼吸法を取り入れる
索引チェックリスト
記憶術:利き手を使わずに書く
記憶術:ブツブツ言う
読書の作業ステップ
PREP読書術
「覚えられない」は本当は必要としていない
●このテーマの関連図書
続ける力―仕事・勉強で成功する王道(幻冬舎新書)
夢をかなえる勉強法
夢をかなえる勉強法(サンマーク文庫い1-1)
伊藤塾式人生を変える勉強法(日経ビジネス人文庫)
考える訓練
(文庫)成し遂げる人の「一点集中力」(サンマーク文庫)