情報収集が上手い人がいます。
私の場合は、つい話しすぎて、あとで「あちゃ〜」と思う場合がよくあるのですが、とくにコンサルタントを名乗るような人は大抵、核心部分の質問にうまく持ってかれます。
ここには実はいろいろなテクニックがあるようです。
■コンサルタントの話題を引っ張る技術
コンサルタントは、自分の仮説を証明する事実をラインスタッフから聞き出そうとします。
ただ、大抵の場合、社外の人間に対しての発言は、結構気を使いますので、本音は本当のところを聞き出すのは簡単ではありません。
自分の思う方向に話題を引っ張っていかないと行けないのですが、情報を持っているのはコンサルタントではなく相手なので、相手が「話したいと思うこと」をコンサルタントが「聞きたいと思うこと」にしないといけないわけです。
その重要なポイントが、同意と沈黙の使い方だそうです。
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人から情報を手に入れようとするときに思い出してもらいたい大切なポイントは、話し手はこちらが聴いていること、さらに話し手の話に興味をもっていることを感じる必要があるということだ。
賛意を示すボディランゲージを用い、必ずメモをとる。
最後に、コツをもう1つ。
相手にもっと語らせたい場合、相手が何か重要なことを言い残しているような気がするが、それが何であるかわからない場合、何も言わない。
沈黙が立ち込めるままにしておく。自然は真空を嫌い、大半の人間もそうだ。
相手は多分、ただ空白を埋めるために話しはじめる。それまでは準備した「原稿」通りに答えていた場合、おそらくそれをやめるはずだ。
試してみるとよい。驚くほど効果がある。沈黙に対しては、準備したものがないからである。
イーサン・M. ラジエル(著) 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』
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以前にコミュニケーションのセミナーで、こんな練習をしたことがあります。
「質問リスト」に沿って相手の仕事についていろいろ聞く
突然黙って相手を見つめる(威嚇してはいけない)
相手が話すまで一切の発言をしない
たぶん、どうなるかはご想像のとおりです。
上記の「質問リスト」には、ある一貫したストーリーがありました。「上司のこと」です。
そして突然質問をやめると、「上司」というキーにそって、自分が最も感じていることを話してしまうわけです。別に誘導したわけではなくとも。
このテクニック、わかっていても、引っかかります(誘導されちゃいます)。
ちょくちょくコンサルタントと話をする機会があるのですが、普段では同僚にも言えないようなことも引き出されてしまって、あとで「やられたな〜」と思うことがしばしば。
■面接調査ガイド
そこに持って行くまでの質問のストーリーの作り方も本書『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』にあります。
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●事前の準備―面接調査ガイドの作成
面接に行くときは準備しておく。二度と会えないかもしれない人と、たった三十分の時間しかないかもしれない。聞くことを考えておく。
マッキンゼーの元同僚たちに、面接に関するとっておきのアドバイスを求めたところ、一人残らず「面接調査ガイドの作成」と答えた。
面接されるのを嫌う人、またはそれほどではなくても、面接に一日の時間を取られるのを嫌がる人は大勢いる。
ガイドは、面接の相手から聞きたいことを聞き出し、自分と相手の時間を最大限に利用するための最良の道具である。
ガイドを作るときは、二つのレべルで考えなければならない。
一つは言うまでもなく、「答えてもらいたい質問は何か」ということ。質問は全部、順不同に書き出す。
より重要な点である二つ目は、「自分がこの面接に本当に求めているものは何か」ということ。
「自分は何を達成しようとしているのか」「なぜ、この人に会って話を聞くのか」というように、自分の目的をはっきりさせていくと、質間をしかるべき順序に並べて、適切に表現するのに役立つ。
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:(中略)
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マッキンゼーでは、面接調査は原則として一般的な質問からはじめて具体的なことへ移行していくべきだと教えられた。
いきなり、「どういう責務を果たしているのですか」とか「入社して何年になりますか」といった微妙なエリアに立ち入ってはいけない。
たとえば業界全体のことなど、気持ちを和らげるような質問から入っていく。そうすれば、面接される側には「ウオーミングアップ」になり、質問する側は相手との関係を深めることができる。
イーサン・M. ラジエル(著) 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』
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単純に言えば、2つのポイント
・答えてもらいたい質問は何か?
・面接で得たいものは何か?
の2つを書き出しなさい、ということですね。
■答えに至るまでの流れを作る
前者「答えてもらいたい質問は何か?」は「知りたいこと」ではなく、「答えてもらいたい質問」というのは重要かと。
「知りたいこと」というのは、自分目線で作った結果なのですが、その結果を出すための質問を考えるというのは、言われてみれば結構難しいです。
おそらくコンサルタントがする質問の核となるところは、組織の人にとっては外部の人には言いにくいことでしょう。つまり、黙秘したいような質問をする事になります。
そこに、正直に答えざるを得ないような状況に持っていくためのストーリーを事前に作っておくことが必要、ということですね。
確かに、私の多くない経験でも、コンサルタントはこういう情報を引き出すのがうまいですね。
つい、喋らされちゃう。
なかなか、いつも出来るわけではありませんが、人から情報を聞き出そうとすれば、相応に戦略と戦術、事前の準備が欠かせない、と。
つい手を抜いて、出たとこ勝負の1時間、みたいなことがほとんどですが。
■参考図書 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』
![]() ![]() | 本書は、2つの貴重な意味を持っている。ひとつは、これまで謎に包まれていた世界的なコンサルティング会社マッキンゼーの仕事や組織、経営について、その一端を明らかにしていること。つまり、マッキンゼーそのものがテーマになった本である点だ。もうひとつは、彼らがビジネス経営問題をどのように解決するかを書いていること。つまり、世界中から集められた、きわめて優秀な「仕事師」たちの思考やテクニックを教えてくれている点だ。著者はマッキンゼーで3年間働いた元社員。そこでの経験と、同社を退職した人々へのインタビューから本書を書き起こしている。 本書の主要部分は、ビジネスの問題をどう考え、解決に向けてどんな方法をとり、そして解決策をどう売り込むかという、実際に彼らがコンサルティングを進める手順に沿って展開されている。いわゆる「マッキンゼー式」の真髄は、その最初の段階の「事実に基づき」「厳密に構造化され」「仮説主導である」という3つの柱で示されている。なかでも、問題を構造的に把握して3つの項目に集約させるテクニックや、まず仮説を立て、証明や反証を重ねながら正答に導くプロセスは、ビジネス思考の究極のモデルになるものだろう。 一方で、チームの編成、リサーチ、ブレーンストーミングの各方法や、「売り込みをしないで売り込む方法」など、すぐに応用できる実践的なテクニックも数多く紹介されている。多忙を極めるCEOに30秒でプレゼンする「エレベーター・テスト」や、毎日1つチャートを作るといったユニークなトレーニングもある。また、彼らのストレス対処法やキャリアアップの方法などもスケッチされていて、彼らの「生身」の側面をうかがい知ることができよう。 マッキンゼーの人々の仕事に対する思考やテクニックが、見事に描き出された1冊である。一読すれば、ビジネスにおける強靭な精神と、すぐれた知性の源泉に触れた気になるはずだ。 |
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●本書を引用した記事
かっこいいグラフを作れるテンプレートChartChooser
キャリアのためにすべきこと、してはいけないこと
少しだけの成功を積み重ねる
いつ終わるのかを言う
通勤どこでも仕事術:毎日5分だけ勉強確保できる確実な方法
マッキンゼー式世界最強の仕事術:ブレーンストーミングで最大の効果を引き出すテクニック
今日学んだことを3つ上げなさい
情報が聞きたければ話してはいけない
「わかりません」にはしつこく食らいつく
目標は達成可能でなければならない
●このテーマの関連図書
マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック
マッキンゼー流図解の技術
マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書
マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書
ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル(Bestsolution)
マッキンゼー流プレゼンテーションの技術