たいていは、いい加減にしか見ていませんから。
車の運転を習ったときに、「あちこちを見なさい」と言われた覚えがありますよね。一点を見続けちゃダメ、と。これは「注視」ということで、自動車運転では、2秒以上同じところを見続けるのは危険行為とみなされるそうな。
この「凝視する」という行為は、実は記憶にとって重要な要素なのだそうです。
■記憶したかったら凝視しなさい
記憶法には、凝視することで集中力を高めて、それ自体を記憶する方法があります。
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大脳生理学者の故・品川嘉也博士によれば、 20 秒から 30 秒、ひとつのことに意識を集中すれば、どんなに年をとってもそのことは忘れないといいます。
物忘れがひどいのは、 20 秒間の集中力が出せないからだ、と品川博士は述べています。
「よし、これを覚えようか!」と決めたら、 20 秒の集中学習で覚えましょう。
たった 20 秒なのですから、その間は、その他の雑念を頭の中から取っ払ってください。
集中力を高めるには、「1点を凝視する」というテクニックがあることを知っておくとよいかもしれません。
何かひとつの対象を決めたら、そこから視線を動かさないようにして、じっと見つめつづけるのです。
よく催眠術で、糸でつるした 5 円王や、ロウソクの炎を、じっと見つめさせるシーンが出てきますが、あれは、「 1 点を見つめさせる」ことによって、暗示に集中させる効果を 狙っているからです。
視線をキョロキョロと動かさず、1点だけを見つめていれば、自然と集中できる習慣ができますので、学習を開始する前などに、 20 秒ほど訓練してみるとよいと思います。
伊藤真(著) 『記憶する技術』
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これ、言うは易し、やってみると意外と難しいですよ(やってみなくてもわかるか…?)。
20 秒なんて、あっという間に感じる時もありますが、いざ 20 秒間、一切の雑念を出さないように、一点に集中するというのは、意識してやれるようになるには、かなりの練習が必要です。
■事前トレーニングの方法
いきなり、記憶したい文章を対象にしてこの凝視トレーニングをしようとしても、私レベルではムリでしたので、その後に書いてある、1点しかないものを見る練習からはじめました。
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ペン先をじっと眺めたり、窓から見える風景の1点をじっと見つめていれば、不思議と学習意欲も高まってくるからです。
伊藤真(著) 『記憶する技術』
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いろんなものがあると、いろんなものに気を取られます。
ですので、私には、ペン先の一点だけ「じ〜〜〜〜っ」と見つめる、というのは割合簡単でした。これは、別にペン先でなくてもかまわないのですが、なるべく情報量が少ないものがいいみたいです。
たとえば、画面にに黒い点をひとつだけ表示させて、それを見つめるとか(目に悪そうですね…)。
そのあと、だんだん対象物を増やしていって、最後に本のページ全体をじ〜〜〜〜っと見ることが、なんとなくできるようになりました。
■凝視の効果
達成具合はどうやって図るかというと、凝視をした直後にそれを頭のなかで再現してみることです。
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本を読んでいるときも、「この箇所を覚えよう」と決めたら、その箇所だけをじっと 20 秒ほど集中して見つめるといいでしょう。ページの裏側を透視できるほどに集中してください。
そうすれば、その内容を忘れることはありません。
20 秒集中して覚えたら、今度は目を閉じて、覚えたばかりの内容が、頭の中に鮮明に映るかどうかをチェックしてください。
あやふやにしか思い出せないのであれば、 20 秒の集中が弱かったのでしょう。
もう一度目を開けて、さらに 20 秒の集中法で覚えてください。
このくり返しをすれば、普通に読書をするよりも効果は 2 倍、 3 倍になります。
ヒマを見つけたら、「凝視法」の訓練をすると、集中力が高まります。
たとえば、街中を歩いているときに、ある風景をじっと凝視したら、目を閉じて、その風景が写真のように頭にイメージできるかどうかを確認してみるのです。
歩いている人の表情、ビルの看板の汚れ、雲の形など、細かい点まで記憶できるかどうかを試してみてください。
電車に乗っているときも、通り過ぎる風景を凝視し、その風景を一瞬で記憶できるように訓練すると、
驚くべき集中力が養われます。
凝視法という訓練は、スパイの訓練としても利用されています。
優秀なスバイは、極秘文書をちらりとのぞき見ただけで、その内容を、一言一句たがえずに暗唱できるそうですが、そのために集中力を養っておくわけです。
たとえ一瞬しか目にしなくとも、 20)秒ほど集中して、それを頭の中で反すうするようにすれば、たいていのことは忘れなくなっているものです。
20 秒の集中ができないというのでは、年齢のせいや頭の構造のせいにできません。本人にやる気があれば、 20 秒くらいの集中はできるはずだからです。
伊藤真(著) 『記憶する技術』
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■参考図書 『記憶する技術』
記憶力は、一生、鍛えることができる。司法試験界の「カリスマ塾長」として知られる、「伊藤塾」塾長の伊藤真氏は、こう断言する。
日本で最難関の試験といわれる司法試験に合格するためには、膨大な量の事柄を覚え、それを使いこなすことができなければならない。
60歳を過ぎてから勉強を始めて、合格する人もいる。
その人たちは特別なのかといえば、そんなことはない。
「記憶する技術」をもっているかどうかである。
それはたとえば、記憶を効果的に定着させたり呼び覚ましたりするためのコツや、記憶する対象に関心をもつといった意識のことである。
本書では、これまで多くの塾生を指導してきた中で、また著者自身が実践してきた、「記憶」を自由自在にコントロールする方法を伝授する。
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記憶する技術 著者 :伊藤真 | 楽天では見つかりませんでした | 記憶する技術 検索 :商品検索する |
●関連 Web
記憶力を養えばストレスフリーな生活が!伊藤真『記憶する技術』
『記憶する技術』天狼院書店
●本書を引用した記事
記憶術:周辺情報を追加する
記憶術:同じような問題を繰り返し考える
記憶術:休み休み、繰り返し
記憶術:意味付けをする
オフラインモードで内面刺激を受ける
記憶術:ガムを噛むと記憶力がよくなる
記憶術:バロック音楽をBGMにする
記憶術:ネットワークを作る
記憶術:イメージ記憶法で絵にする
記憶する技術:呼吸法を取り入れる
索引チェックリスト
記憶術:利き手を使わずに書く
記憶術:ブツブツ言う
読書の作業ステップ
PREP読書術
「覚えられない」は本当は必要としていない
●このテーマの関連図書
続ける力―仕事・勉強で成功する王道(幻冬舎新書)
夢をかなえる勉強法
考える訓練
夢をかなえる勉強法(サンマーク文庫い1-1)
伊藤塾式人生を変える勉強法(日経ビジネス人文庫)
(文庫)成し遂げる人の「一点集中力」(サンマーク文庫)