2019年08月05日

リーダーシップとは芸術だぁ!


リーダーシップ・チャレンジ』という本があります。
初版発行(1987)から約30年を経過するロングセラーの一冊で、2014年に第5版が発行されています。

今日語られているリーダーシップに関することはほぼここに書いてあります。
おそらく、「リーダーシップ」に関する著作を持っている人は、何らかの形で影響されているのではないかと思えるような古典的正統派の「リーダーシップ論」です。

多くの「リーダーシップ」本で語られているとおり、「リーダーシップとは学べるスキル(技術)だ」なのですが、本書ではその論を使いながら、こんなことが書かれています。


「リーダーシップとは共通の願いのために頑張りたいと人々を結集させる芸術である」。

芸術ですよ。げーじゅつ。アート。

かっこいいなぁ、と思っちゃいました。

■リーダーシップはスキルの集合体


「リーダーシップとは」と簡単に、一言で、スッキリというのは、やっぱりフツーのサラリーマンにはムリなのですが、個人的には、

 いろいろなスキルや知識・行動を集合的に発揮した結果の指標のひとつ

だと考えています。つまり、リーダーシップというスキルがあるわけではなく、いろいろなスキルや知識を活用して、その人の志向にあった行動をした結果、なにがどうなったのかを測るために、リーダーシップという言葉があるのではないかと。

もちろん、「あなたのリーダーシップ度は、3.8 で去年より 0.1 ポイント増加しました」なんて出てくれれば簡単なんですけどね。そうはいかない。

ですので、

 「リーダーシップとは共通の願いのために頑張りたいと人々を結集させる芸術である」。

は、技術の集合体としての個人の成果として、「芸術だ」というのは、たしかにありかもしれない。

本書では、


★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

1. リーダーシップとは、誰にでもできるもの
2. リーダーシップとは、関係である
3. リーダーシップ開発とは、自分自身で行うもの
4. 最良のリーダーとは、最良の学習者である
5. リーダーシップ開発とは1回の出来事ではなく、継続するプロセスである
6. 優れたリーダーになるためには実践-思慮しながらの実践-を要する

ジェームズ・M・クーゼス(著) 『リーダーシップ・チャレンジ
―――――――――――――――――――――★


と書かれています。

芸術ではあるものの、特殊な芸術家が実現するものではなく、すべての人が、あらゆる形でやれるものである、ということですね。

■リーダーシップの実践


ではリーダーシップにはどのような要素が必要なのかというと、

★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

1.模範となる
 自分の言葉を見つけて語り、共通の理想を確認することで、価値を明らかにする
 行動を共通の価値に合致させることで、手本を示す

2.共通のビジョンを呼び起こす
 心を高ぶらせ、気高くする可能性を想像することで将来を描き出す
 共有される願望に訴えかけることで、共通のビジョンに人々を参加させる

3.プロセスに挑戦する
 率先して、外に目を向けて革新的な改善策を求めることで、機会を探す
 小さな勝利を積み重ね、経験から学ぶことで、試み、リスクをとる

4.人々を活動できるようにする
 信頼を築き、関係を促進することで、協働を育む
 自分で決める余地を増やし、実行する能力を開発することで、人々を強くする

5.心を励ます
 個人の卓越したところを評価することで、貢献を認める
 共同体意識をつくりあげることで、価値と勝利を讃える

ジェームズ・M・クーゼス(著) 『リーダーシップ・チャレンジ
―――――――――――――――――――――★


これまた、多くのリーダーシップ本にかかれているとおりです。

日本語にするより、私には英語のほうが直感的でしたが、これはら次のように書かれています。

・模範となる         Model the Way
・共通のビジョンを呼び起こす Inspire a Shared Vision
・プロセスに挑戦する     Challenge the Process
・人々を活動できるようにする Enable Others Act
・心を励ます         Encourage the Heart

最後に、本書で上げられていた「信頼の源泉」「従っていきたいとおもうリーダーの特性」として紹介されていた4つの鍵は

 ・正直、誠実     Honest
 ・展望がある、前向き Forward Looking
 ・意欲を与えてくれる Inspiring
 ・実力がある     Competent

です。

もし、リーダーシップに関する本を探しているなら、読んでおいてほしい一冊。

■おまけ


本書の目次を書き写してましたので、オマケに追加しておきます。

★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●イントロダクション――非凡なことを成し遂げる
 類のない調査から生まれた本
 リーダーのための実践的ガイドブック

●1章 最高のリーダーとは?
 すべてのリーダーは「五つの実践」を
 リーダーシップは人間関係
 信頼がなければはじまらない
 模範となる

●2章 価値観を明らかにする
 自分自身の言葉で語る
 共通の価値観を確立する

●3章 手本を示す
 共通の価値観に沿って生きる
 価値観を実践させる
 共通のビジョンを呼び起こす

●4章 未来を描く
 可能性を想像する
 共通の目的を見つける

●5章 人々を引き入れる
 共通の理想に訴える
 ビジョンを具体的に描く
 プロセスに挑戦する

●6章 チャンスを模索する
 自発的に行動する
 外部にアイデアを求める

●7章 実験しながらリスクをとる
 小さな勝利を積み重ねる
 失敗から学ぶ
 人々を行動にかりたてる

●8章 協働を育む
 信頼できる環境をつくる
 絆を強める

●9章 力を与える
 意思決定の裁量を与える
 自信と能力を育てる
 心から励ます

●10章 貢献を認める
 ベストを期待する
 相手にあわせて褒める

●11章 価値と勝利を讃える
 共同体精神をつくりだす
 一人の人間として関わる

●12章 だれでもすばらしいリーダーになれる
 全員がリーダーだ
 自分の重要性を知る
 実践、実践、実践
 自分と対話することからはじめよう
 つねに謙虚に、つねに人間らしく
 いつでも、どこでも、リーダーシップを発揮しよう
 心で導く人であれ

ジェームズ・M・クーゼス(著) 『リーダーシップ・チャレンジ
―――――――――――――――――――――★





■参考図書 『リーダーシップ・チャレンジ




世界規模の膨大かつ徹底した調査をベースに著された『リーダーシップ・チャレンジ』は、25年にわたり、よりよきリーダーをめざす人々から最も信頼されてきた。この本は、リーダーシップとは人間関係であり、学べば誰でも身につくことを実証し、その具体化である「5つの実践」は、不変の原則として世界中に広まっている。最新版では、世界中の100を超すケーススタディを盛りこみ、今日のリーダーが直面する課題にも応えた。創刊25周年記念となるこの第五版は、よきリーダーを目指し、非凡な成果を求める人の必読書である。





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リーダーシップ・チャレンジ
著者 :ジェームズ・M・クーゼス
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●本書を引用した記事
 年下の上司には最敬礼で接する
 Webを調べるたびにメールで共有する
 リーダーシップとは芸術だぁ!
 社内研修の講師になる
 上達のコツは続けること、続けるコツは続けること
 中途面接の印象を良くするコツ:面接官の名前を覚えなさい
 面接質問:なぜ課長になりたいですか?
 面接で「年上の部下・担当者への接し方」を聞かれたら2
 目次ノート
 「したいと思います」は禁句

●このテーマの関連図書


リーダーになる[増補改訂版]

本物のリーダーとは何か

強い会社が実行している「経営戦略」の教科書

フィードバック入門耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術(PHP…

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まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う



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