まだ駆け出しの頃、上司によく
「出来事をぼんやり見るな!」
と怒られました。自分としてはぼんやり見ているつもりはなかったので、ちょっと「ムッ」としたりしたのですが、今思うと汗顔の至りですね。
せっかく学習の機会があるのに、その機会を「ぼんやり」見過ごしている事が多いんですよ。意外と。多分ですが、同じ年月生きてきたにもかかわらず、成長速度やその達成度が異なるのは、この「ぼんやり度」が違うからなような気がします。
■観察するには目的を持たないとできない
例えば、スマホのホーム画面は1日に何度も見ますよね。
ちょっとペンを取り出して手元のメモ帳に、ホーム画面にどんなアイコンがどの位置にあったか書き出してみてください。アイコンの絵も正確でなくていいので書いてみてください。
多分、全部は書けないかたが多いのではないでしょうか。
※できないのは私だけなのかもしれません…
ちなみに、私はこれを最初に言われたときには、アイコンの絵どころか、名称すらも半分くらいは挙げられませんでした。一応意志を持って(使用頻度を考えて)そこにおいたはずなのに。
もちろん、スマホを持てば直ぐに操作はできるし、何かの拍子に位置が変わると、アイコンを探さないと使えなくなって、「ちっ!」と思ったりするので、ちゃんと覚えているはずなのに、いざ「書き出しなさい」と言われると全然できない。
当時の上司から見ると、私の仕事の仕方も目で見ていながら何も観ていない、ということだったのでしょうね。注意力不足と。
まあ、そういうことを意識するようになってからでも、このスマホの例の通り、大したことはありませんから、根本的にヌケてるのかもしれませんが。
■報告書を書く
それでも多少マシになったのは、日誌を書くようになってから。
出来事を正確に記録に残そうとすると、記録に残すと意識してないとできないんですね。
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●報告書作りを積極的にやってみる
何度も登場している、尊敬している上司から命じられた仕事で、とても印象に残っているものがあります。
それが、報告書作りでした。特に上司が見るというわけではないのです。
それでも、例えば視察に行ったりしたら、必ず報告書を書けと言われていました。
後から振り返ってみれば、それは私自身の勉強のためでした。
私が報告書を書いていれば、部内の同僚たちが私と同じ視察の体験を疑似的にすることができます。
みんなのために、情報を残せる、ということです。
そしてもうひとつ、書いている私自身が、深く理解できるのです。
よく言われることですが、教えることは実は学ぶこと。まとめることというのは、誰かにそれを教えることです。
報告書作りは、自分の理解をもう一度、確認することにつながるのです。
さらにもうひとつ、報告書を書いていて発見がありました。
報告書を書くことが前提になっていると、視察に行ったときに報告書を意識するようになるのです。
そうなると、「あれも聞いておかないと」「これも聞いておこう」「もっと情報がないと報告書が埋まらないぞ」とばかりに、視察そのものが充実することになります。
それこそ、充実した報告書にするために、再度の視察に出掛けたり、電話でもう一度聞いたりしたこともありました。もっというと、報告書を書き慣れたことで、部内で情報共有するためにはどんな項目が必要なのかが、自然に染みこんだのでした。
そうすると、視察に行く前の段階ですでに埋められる項目があることもわかりました。
聞かなければいけないことを、もれなくチェツクしておくこともできました。おかげで、的確な報告書が作れるばかりではなく、極めてレべルの高い視察ができるようになったのです。
営業でも出張でもいいと思います。同僚と情報共有するための報告書を、時に指示されなくても作ってみる。あるいは、作る前提で訪問や出張に行く。これは、仕事レべルを一段上げてくれると思います。
岩田松雄(著) 『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方』
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本書では、「報告書を書く」ことに対する効果が2つ挙げられています。
ひとつは、冒頭に書いたように、「事実をしっかり見る」ということ。
もうひとつは、事前に「何を見るのか」の意識ができることです。
人間、あらゆるものを正確に見て記憶することはできません。
以前の記事で、
「今何時?」と聞いて時計を見たときに、あとで「その時計の文字盤を書いてみて」と言われても書けない
という事例を書きましたが、時間に意識が行ってしまった状態で時計を見ると、時間以外の情報は記憶に残らないんですよ。
つまり、見ようとしたもの以外が目には入っていても認識はされていない、と。
逆に言えば、「見ようとすることで、少なくともその情報は記憶に残すことができる」ということです。
その手段が、報告書を書こうとすることなんですね。
その結果、一定の目的を持って見ることができるようになる、というお話です。
新人や後輩を育成するときも、まず、報告書を書く習慣をつけるようにしています。
ところで、あなたは今日の業務報告書、何を書きますか?
■参考図書 『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方』
![]() ![]() | ベストセラー『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』の著者岩田松雄氏の上司から信頼される部下になるための必須の51ヶ条。 「上司といまいちウマが合わなくて……」 「上司への報・連・相の仕方がよくわからない」 「うまく上司をコントロールして、仕事を上手に進めたい」 こんな風に思っている方もいるかもしれません。 ザ・ボディショップやスターバックスのCEOを務めてきた著者も、もちろんかつては部下だった時代がある。 上に登っていく人は、実力を社内に示すだけでは不足で、上司からの信頼を勝ち取ることが必須。 著者が部下時代にどのように仕事や勉強に向き合っていたか、そして上司としてどういう部下なら引き上げたいと思うのかの本音がまとめられています。 |
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●本書を引用した記事
採用される意見のコツ
成長を加速する報告書の技術
上司の指摘は積極的に改善する
いい話なのか、悪い話なのか、最初に言う
上司は部下の強み、弱みをよくわかっている
同僚を持ち上げると評価が上がる?
ジョークのなかに本音がある
「頑張った私」は言わない
ファーストコールを受ける窓口になる
●このテーマの関連図書
「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方
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