たとえば天気の良い日と悪い日でものごとの判断結果が違う。涼しく快適な環境と暑苦しい不快な環境では相手の印象が違う。このように無意識のうちに偶然の要因やまったく関係のない環境要因に影響を受けて判断していることがあるのです。
そのことを自覚していないと、思わぬ落とし穴にはまってしま、つことにもなりかねません。
本書は名著『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』を始めとする対人心理学を具体事例を用いてわかりやすく解説しています。
本書の中から、リーダーが組織に良い影響を与えるためのポイントを抜粋してみます。
■ポイント抜粋
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●手抜きを防止する方法
こうしてみると、社会的手抜きというのは、個人がモチべーションの高い人物か低い人物かに関係なく、人間すべてにあてはまる普遍的現象だということがわかります。
集団になると、だれでも一人だけで取り組むときほどの努力量が発揮されないのです。
でも、それでは組織としては困るわけです。せっかくの個人の力が十分発揮されないのですから。では、どうしたらよいのでしょうか。心理学者釘原直樹は、社会的手抜きの防止法として、つぎの 4 つをあげています。
・個人の貢献度がわかるようにする
・課題に対する自我関与度を高める
・他者に対する信頼感をもつ
・集団全体のパフォーマンスの変動についての情報が成員個々に与えられる
個人の貢献度がわかるようにするというのは、集団に埋没するのを防ぐための最も効果的な方法と言えるでしょう。
もともとモチペーションの低いタイプは、個々の貢献度がわからないとなると、これは手を抜きやすいと感じ、適当にさぼりやすくなります。
他方で、モチべーションの高いタイプも、個々の貢献度がわからないとなると、必死に頑張っても適当にゃっている連中と一緒にされると思えば、意識せずとも努力量は減ってしまうでしょう。
ゆえに、個人の貢献度がわかるようにするというのは、モチべーションの低い部下にも高い部下にも非常に効果的な手法と言えます。
課題に対する自我関与度を高めるというのは、メンバーがチャレンジしたくなるような目標を与えるなどの工夫をすることです。
他者に対する信頼感をもつというのは、集団のメンバー同士の交流を促し、相互の関係をよくしておくことをさします。
チームのみんなでカを合わせると困難も乗り越えられるというのは、ライバル企業に負けないようにといった目標に一丸となって適進するなど、課題に対する自我関与と他者に対する信頼が高い場合に起こることです。
集団全体のパフォーマンスの変動についての情報が与えられることで、低下すれば「もっと頑張らないとまずい」と思うでしょうし、高まれば気分も高揚して「よし、この勢いでいこう」とますます頑張ることが期待できます。
たえず結果のフィードバックがあることが個 々 のメンバーのモチべーション維持を後押しすると言えます。
榎本博明(著) 『仕事で使える心理学』
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●言い訳の多い部下には、どう対応するか
いつもの月より営業成績が悪いときに、上司から呼ばれて、「今月は成績が悪いけど、どうしたんだ」「なんでこんなに成績が落ち込んでるんだ」と言われたから、季節要因や新規参入のライバル社の存在とか、とりあえず思いつく理由を答えたら、「言い訳は聞きたくない。とにかく頑張って巻き返すように」と突き放すように言われ、自分から訊いてきたんだろうと腹が立ったという人もいます。
この場合も、上司としては理由を聞きたかったわけではなく、ただ叱叱激励したかったのでしょう。
このような事例をみれば明らかなように、部下の言い訳が多いと感じる上司の場合、自分自身の口癖を振り返ってみる必要があります。
部下に言い訳をさせる口癖があるくせに、「言い訳はいらない」みたいな突き放し方をしていたら、部下のモチべーションは下がるばかりです。
「なんで?」「どうして?」といった口癖を、もっと前向きの、課題解決志向の口癖に変えていく必要があります。
たとえば、「どうしたらいいかな?」と言えば、部下は言い訳を考えるよりも、今後に向けての改善策に焦点づけた姿勢を取るようになるはずです。
榎本博明(著) 『仕事で使える心理学』
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●集団の成熟度によってスタイルを変える
リーダーシップのライフサイクル
起業した当初は有能なリーダーだったのに、事業が軌道に乗り、安定してくると、部下たちの不満が多くなり、職場全体の雰囲気が悪くなって、みんなのモチべーションが下がり、自分のリーダーとしての資質に自信をなくす。
そんなことが起こりがちです。なぜかといえば、集団の成熟度によって有効なリーダーシップスタイルが異なるからです。
事業がある程度軌道に乗ってからは、起業した頃とはリーダーシップスタイルを変えていかなければならないのです。
では、どのように変えていったらよいのでしょうか。その参考になるのは、心理学者ハーシーとプランチャードによるリーダーシップのライフサイクル理論です。これは、効果的なリーダーシップスタイルは、メンバーの成熟段階によって違ってくるというものです。
ハーシーとブランチャードは、集団の成熟度が低い第 1 段階では、指示的な行動を中心とした教示的リーダーシップスタイルが有効だと言います。
第 2 段階では、指示的な行動が中心とはなるけれども、メンバーの気持ち面の配慮もする説得的リーダーシップスタイルが有効だとします。
さらに集団が成熟した第 3 段階では、メンバーの仕事力は高まっているため、指示的な行動を減らし、メンバーのモチべーションを高めることを重視する参加型リーダーシップスタイルが有効としています。
集団の成熟度が最高度に達した第 4 段階では、集団が十分に機能するように成熟しているため、メンバーの自主性や自立性を尊重し自由裁量の部分の多い委譲的リーダーシップスタイルが有効だと言います。
このリーダーシップのライフサイクル論は、リーダーが自分のスタイルを振り返る上で非常に参考になります。
部下たちの能力状態に合わせて自分自身のリーダーシップスタイルを柔軟に切り替えていくことのできるリーダーが集団を成功に導くというわけです。
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●手をあげさせて釘を刺す
あえて手をあげてもらうという意味会議で決めたのに、だれもその通りに動いてくれないというのは、よくあることです。説明を聞いて頭で理解したからといって、それに則って行動するとはかぎりません。
そこで威力を発揮するのが、挙手を求める方法です。
私たちは、自分がいい加減な人間だとは思いたくありません。自分の言動に一貫性をもたせたいという思いを強くもちます。このことが挙手の効果につながります。
会議の場で、ある提案がなされ、質疑応答の後に、「とくに異議がないようなので、今後はこのような方針で行こうと思います」で終わった場合と、「とくに異議がないようですが、賛成の人は挙手を願います」と言われて手をあげた場合を比べてみましょう。
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影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
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