2018年11月26日

仕事で使える心理学4:ポイント抜粋―ストレスに対応する

仕事や日常生活において、だれでも自分は合理的にものごとを判断していると信じています。でも、じつは私たちはそれほど理にかなった生き物ではないようです。

たとえば天気の良い日と悪い日でものごとの判断結果が違う。涼しく快適な環境と暑苦しい不快な環境では相手の印象が違う。このように無意識のうちに偶然の要因やまったく関係のない環境要因に影響を受けて判断していることがあるのです。


そのことを自覚していないと、思わぬ落とし穴にはまってしま、つことにもなりかねません。

本書は名著『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』を始めとする対人心理学を具体事例を用いてわかりやすく解説しています。

本書の中から、ストレスをためず、うまく付き合うポイントを抜粋してみます。

■ポイント抜粋



★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●ストレスをためやすい「タイプ A 行動パターン
過度の競争と時間の切迫感をもつタイプ A
医学者フリードマンとローゼンマンは、心臓病にかかりやすい人の行動パターンに着目し、サンフランシスコのビジネスマンを対象に、心臓発作を起こす前に認められた行動特徴について調査した結果、 7 割の人が過度の競争と必死に締め切りに間に合わせようとしていたことをあげました。

心臓病との関連でよく取りざたされる脂肪分の摂りすぎ、過度の喫煙、運動不足などをあげる者は、それぞれ 5% もいませんでした。そこで、時間の切迫感と過度の競争を中核とした行動パターンをタイプ A 行動パターンとし、警告が発せられました。

日本では、アメリカほど激しい競争に駆り立てられることはないので、時間の切迫感を中核とした行動パターンとみなしてよいでしょう。

したがって、タイプ A 行動パターンを身につけている人は、絶えず何かに駆り立てられており、やるべきことがあるとそれが気になり、のんびりくつろぐことができません。とくに急を要する仕事でなくても、終わるまでは落ち着かないので、常に最大限のペースで走り続けます。計画を立てるときも、やらねばならないことを数え上げると、それをすませるまでは落ち着かない感じになり、計画に余裕をもたせるということができず、はじめから無理と思わざるを得ないようなきつい計画を立てるクセがあります。

タイプ B からすれば、なぜいつも不必要に急ぐのか、なんで苦しいだけなのに無理をしようとするのかが理解できません。

その時間的切迫感が最大の特徴で、やるべき事を急いですませてしまわないと落ち着かず、時間の無駄が我慢できないため、ダラダラ続く会議があると人一倍イライラします。自分が無理をしすぎて疲れていることに気づかずにひたすら走り続けるため、知らないうちにストレスをため込みやすいので、注意が必要です。

●タイプ A の人が注意するべきチェックリスト
・仕事中、ときどき無理にでも中断して気分転換をするように心がける
・急いで仕事をしているときでも、窓越しの風景を眺めたり、軽く体操したりするくらいの短い休憩はごまめに挟むようにする
・仕事が予定より早くすんだら、つぎの予定を繰り上げたりせずに、趣味や楽しみのための時間に回す
・仕事と関係のないことをするための時間を毎日確保する
・趣味といえるようなものをもつようにする
・仕事と関係のない読書を楽しむ
・美術館や博物館に出かけたり、美術書をめくったり、音楽を聴くなど、芸術に親しむ時間をもつ
・古典を読んで、ゆったりとした時間の流れの中に身をおく
・若い頃や子どもの頃に好きだったことを思い出してみる
・アルバムの整理をしたり、旅行中に集めたものを整理するなど、現実の時の流れからしばし降りるときをもつ
・仕事や職場と関係のない人間関係をもつようにする
・親しい人間関係に浸る時間を大切にする
・子ども時代や学生時代の友だちとの旧交を温める
・とくに興味をひく話や役に立ちそうな話でなくても、ムダとして切り捨てたりせず、会話そのものを楽しむように心がける
・目の前の出来事や風景、人に関心を向ける
・安らぎの生活空間づくりを心がける
・仕事場も機能迫求ばかりに走らず、遊び心を入れた装飾などをするゆとりをもつ
・列に並んだり、電車を待ったり、食事が出るのを待ったりするとき、ひたすら待つのでなく、周囲の人や景色を観察したり、空想にふけるなど、楽しい時間に変えるように工夫する

榎本博明(著) 『仕事で使える心理学
――――――――――――――――――――――――――――★




★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

発散型情動コントロール志向のコーピングとは、イヤな気分が持続しないように、積極的に発散して気分転換しようというコーピング行動をさします。

回避型情動コントロール志向のコーピングとは、イヤな気分が持続しないように、イヤなことは考えないようにするコーピング行動をさします。

自力型課題解決志向のコーピングとは、自分で頭の中を整理することで、問題となる出来事や自分の置かれた状況をしっかり分析し、現実的な解決策や打開策を冷静に検討しようとコーピング得点するコーピング行動をさします。

アドパイス要請型課題解決志向のコーピングとは、人に相談したり他人の事例を参照したりすることで解決策のヒントを得て、現実的な解決策や打開策を冷静に検討しようとするコーピング行動をさします。

肯定的意味づけ模索型のコーピングとは、ストレッサーとなっているネガティブな出来事や状況の中に潜むポジティブな意味を探し出そうとするコーピング行動をさします。

非コーピングとは、何も有効なコーピング行動を取っていない状態を意味します。

各コーピング行動の得点が 5 点満点で算出されているはずです。これをもとに自分自身のストレスコーピングの傾向を把握し、できればそのレパートリーを増やすように工夫してみましょう。

榎本博明(著) 『仕事で使える心理学
――――――――――――――――――――――――――――★



★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●ストレス対処のチェックリスト
 (01)気心の知れた友だちと楽しくおしゃペりして発散する
 (02)イヤなことは考えないようにする
 (03)何が自分を苦しめているのかを整理してみる
 (04)先輩や上司なと頼れる相手に相談してみる
 (05)どんなことからも必ず何か得るものがあるはずだと考える
 (06)イヤなことを思い出しては落ち込む
 (07)趣味で気分転換する
 (08)考えてもしようがないことは考えない
 (09)どうしたら状況が良くなるかをじっくり考える
 (10)親しい友だちに状況や思いについて話してみる
 (11)この経験を今後にどう活かせるかを考える
 (12)失敗するとすぐに「自分はダメだ」と思ってしまう
 (13)ショッピングや飲食で憂さ晴らしをする
 (14)ひたすら行動して心を無にする
 (15)現実的にできることとできないことに分けて整理してみる
 (16)親しい友だちにアドバイスを求める
 (17)自分の器を大きくするチャンスと受け止める
 (18)困難にぶつかって人生がィヤになることがある
 (19)スボーッや散歩で気分転換する
 (20)何も考えずによく寝るようにする
 (21)状況改善のためにできる最も簡単なことから着手する
 (22)本や雑誌を読んでヒントを探す
 (23)これだけイヤなことがあれば、つぎは良いことがあるだろうと考える
 (24)気分が落ち込むとイヤなことばかり思い出してしまう
 (25)楽しいことを考えて気分を上向きにする
 (26)アルコールを飲んでイヤなことは忘れようとする
 (27)状況をこれ以上悪化させないための注意点を整理する
 (28)似たような経験をした人の情報を集めて参考にする
 (29)困難にぶつかっているときは自分が鍛えられているときだと考える
 (30)思い通りにならないことが続くと「どうでもいい」と諦めの気持ちになる

榎本博明(著) 『仕事で使える心理学
―――――――――――――――――――――――――――★




■参考図書 『仕事で使える心理学




ビジネスの世界は人間心理で動く!
 営業、交渉、会議、部下指導、心の健康対策など、仕事のあらゆる場面で役に立つ心理学知識を解説します。

「交渉は先にキレたほうが勝つ??」
 例えば、ビジネス交渉にはさまざまな心理テクニックがあります。最初に過大な要求を相手にぶつけて自分の要求を通しやすくしたり、契約のサイン寸前になってわざと新たな条件を持ち出し相手にのませるなど、注意すべき技法を紹介します。

「みんなで決めるとリスクは高まる」
 物事を独断で決めずにみんなで話し合ったほうが、いろいろな知恵が結集できると思われ がちですが、集団での意思決定には意外な落とし穴があります。みんなで決めると気が大きくなり、責任も分散されることから、リスクの高い選択をしがちだということです。

「折れない心をつくる」
 また、ストレスに強い「レジリエンス」(復元力)という言葉が注目されています。ストレスのメカニズムや、ストレスを緩和・克服する心の習慣づくりを解説します。

本書は、経営や営業の現場で日々、打ち合わせや交渉をしている方や、部下の指導方法に悩んでいる方など、心理学を役立てたい人に最適の入門書です。





◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

仕事で使える心理学
著者 :榎本博明

仕事で使える心理学
検索 :最安値検索

仕事で使える心理学
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 あるがまま読むと速読できる
 「自分も賛成です」で終わらせない
 通勤どこでも仕事術:平積みにしておくと読書モチベーションが復活する
 失敗を恐れず、発言の機会を求めよう
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 ノートを見返す習慣を作る
 複数の仕事を並行して進めるための必須作業
 スケジュールで決済のためのバッファを設ける
 仕事で使える心理学4:ポイント抜粋―ストレスに対応する

●このテーマの関連図書


マーケティングを学ぶ(ちくま新書)

言いづらいことの伝え方(日経文庫)

現場の変革、最強の経営ムダとり

新訂いい会社をつくりましょう

モチベーションの新法則(日経文庫)

ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」-脱「サラリーマン的思考」のキ…





■参考図書 『影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
楽天では見つかりませんでした
影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか
検索 :商品検索する



●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
 仕事で使える心理学4:ポイント抜粋―ストレスに対応する
 仕事で使える心理学3:ポイント抜粋―リーダーにとって必要なこと
 仕事で使える心理学2:ポイント抜粋―判断に影響する心理
 仕事で使える心理学1:詳細目次
 上司にもアポイントメントを取る
 お世辞も言わねばサラリーマンは務まらない
 魅力的な名前をつける
 人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい

●このテーマの関連図書


影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

影響力の武器戦略編:小さな工夫が生み出す大きな効果

プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く

シュガーマンのマーケティング30の法則お客がモノを買ってしまう心理的ト…

影響力の武器コミック版

ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則



■関連する記事

あるがまま読むと速読できる

以前、英語文化圏の人とコミュニケーションするようになって、結構困るのが語順が違うというところ。返り読み日本人の読みかたでおもしろいのは、同じところを住復するくせである。漢文は返り点をつけて読む。学而時習之。不亦説乎。 有朋自遠方来、不亦楽乎学びて時に之を習う、亦説しからずや。朋有り、遠方より来る。亦楽しからずや上がうたり下がったりして読む。読みかたと..

「自分も賛成です」で終わらせない

「この人、できる」と思わせるコツのひとつに、「知識があると思わせる」「鋭い指摘をする」という方法があります。これに使う知識や見識は別記事で時々書いているように、読書や上司の視点で考えるなどのトレーニングで身についていきますが、どんなにトレーニングをしようとそれを使わなければあるかどうかはわからないんですね。使わなければ、「無能だ」と思われてしまいます。社会人になると、学生時代の実力試験のような評価するための確認がなくなるので、「知識がある」とか「知識がない..

通勤どこでも仕事術:平積みにしておくと読書モチベーションが復活する

ちょっとした読書量を増やすためのハックをご紹介します。読書通勤を習慣化する仕組みづくり毎日一冊は本を読んでいますが、実は通勤中に本を読むことをしなかった時期は、ほとんど本を読むこともありませんでした。月一冊も読めば良いほうだったと思います。そう考えると、ほとんどの本を通勤中に読んでいるわけです。私の読書の習慣が続いている秘訣をここでご紹介します。まず、複数..

失敗を恐れず、発言の機会を求めよう

他人との交渉や会議などでなにか発言するというのは、結構緊張します。とくに自分よりも職位が上の人とかが多いような会議だったり、初めて合う人ばかりの会合だったり。こういう場では、あまり発言はしたくないですね。自分が進行役だったり、自分がよっぽど不利になるとか、影響が大きいような場合はやむを得ませんが…発言がスムーズにデキる人になりたいただ、「黙って座っているだけの人」になりたいかと言われるとそんな事はありません。まあ、..

多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」

おそらく、交渉事が得意という人は少数派なのではないか、という気がしていますが、皆さんどうなのでしょうね?私はと言うと、交渉事は超ニガテです。一方で、過去記事でも何度か交渉モノの記事を「えらそうに」書いていますし、それなりに使えていると自分的には思っている部分もあります。いつまでたっても「得意だ」とは思えないところが救えないですが。本日は、交渉という人間関係のもっとも煩雑な部分にスポットをを当てた本をご紹介。紹介交渉..

多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」

おそらく、交渉事が得意という人は少数派なのではないか、という気がしていますが、皆さんどうなのでしょうね?私はと言うと、交渉事は超ニガテです。一方で、過去記事でも何度か交渉モノの記事を「えらそうに」書いていますし、それなりに使えていると自分的には思っている部分もあります。いつまでたっても「得意だ」とは思えないところが救えないですが。本日は、交渉という人間関係のもっとも煩雑な部分にスポットをを当てた本をご紹介。紹介交渉ごと..

■同じテーマの記事

1年後を想像する

毎日、サラリーマンをしていると、いろいろな問題に悩まされます。これが積み重なると、ストレスでダウンしてしまうなんてことに。これはどのくらいの問題だろうか私は過去、ストレスと過重労働でダウンしたことがあることは、過去記事でも何度かふれましたが、一番大きかったのは、「すぐに解決できそうもない問題」が心理的に大きかったと思ってます。そこで、おやすみしている間にいろんな本を漁って勉強をしたのですが(もちろん、ある程度体調が..

posted by 管理人 at 04:13| Comment(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: