よく「話題をひとつに絞る」と良い結果が得られると言われます。話したいことがいくつもあって、それを全部話そうとするとひとつも伝わらない、みたいな。
これは経験的にも実感があります。
■意図を伝えられない
普段の会議なんかでも、よく喋ってるけど、言語明瞭意味不明なひとがいます。しばらく聞いていないと、何について話をしているのかがさっぱり見えない。ひどい場合には最後まで何がいいたいのかわからないときも…
こういう人は、技術スキルは高くても仕事がうまく進められない場合が結構あったりするようです。要は自分だけでなにかやる分にはいいけど、他人との関係になると、自分の意志や意図がうまく伝えられない……と。
■意思疎通がうまくできない人に足らないもの
ズバリ言ってしまえば、「論理力」というやつだと思います。
池上彰氏が「最初に地図を渡す」ということを『わかりやすさの勉強法』で書かれてますが、
「これからこういう事を話します」
という概要を示し、その後に、「A→B→C→結論」みたいに進めていくことをしてなくて、思いついた順番にその場の勢いで話をするから、
・A
・F
・C
・B
以上、終わり!
みたいにあちこちに話が飛躍するので、「で、何がいいたいわけ?」といいたくなってしまいます。
■箇条書きで話をしない
この特徴を『出口汪の論理的に話す技術』では、「箇条書きの話」として気をつけるよう諌めています。
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●羅列型の話は禁物
そうだよね。せっかくの努力も徒労に終わってしまう。聞き手を混乱させないために、もっとも気をつけなければならないのが、羅列型の話はしないということだ。
羅列型の話って、どういうことですか?
論理的に関係のない話を並べるような話し方だよ。
A という話のあとにB の話をしたら、聞いている人は無意識のうちにA とB の関連性を考える。論理的にきちんとした話なら、このA とB は関連があるから、聞き手はすぐにそれがわかるんだ。
でも、羅列型の話だと実はこの二つには何の関連性もない。ところが、聞き手は関連があると思って聞いているから、どこが関連しているのかと考えている。
ようやく聞き手が二つに関連がないことに気づいたときに、続けて関連のない C という話をしたなら、聞き手は三つの関連性を考えなくてはならない。
そんな状態でさらに話を続けられても、もう頭には入ってこないよ。そもそも話し言葉は消えていくから、話を聞きながら‘ たくさんの情報を記憶、整理し、理解するのはむずかしい。それに加えて、話が論理的でなかったとしたら、理解することは不可能だ。
そんなことになったら、頭はもう混乱してしまって、パニック状態になってますね。
そうか! 前に先生が話題を変えるとき、違う話をするときは、それを聞き手に告げなくてはいけないと言ったのは、聞き手を混乱させないためなんですね。
うん。「ひとつの話に要点はひとつ」、これが基本だ。それまでの話と関連のない話をするときには、「話は変わるけれど」、「○○についてなんだけど」などと、聞き手にサインを送って、頭を切り替えてもらわなくてはいけないんだ。
出口汪(著) 『出口汪の論理的に話す技術』
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ここで羅列型と呼ばれているのは、話に流れがないことです。
「昨日雨が降ったよね。アメリカの金融相場が崩れるってニュースがあった。」
極端な例ですが、これを言われて、「??」になってしまうのは私だけではないと思います。
発言者自身は、単に「雨」→「アメリカ」みたいに単に連想したことを話しているだけですが、聞いている人からすると、話に流れを見つけようとするので、日本で降る雨とアメリカの金融相場の関係を考えてしまいます。そりゃ意味がわからないわな。もともと意味なんてないんだから。
意外とこういう「論理の飛躍」にすらならない話を自分でもしている場合があります。まあ、論理以前のはなしですが。
気をつけたいですね。
■参考図書 『出口汪の論理的に話す技術』
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●本書を引用した記事
耳で読む読書術:オーディオブックを活用する
課長・部長になりたかったら建設業か情報産業にいく?
「送る」メニューを整理する
記憶術:視点を変えて繰り返す
お礼を言う
論理的に話す技術
論理が飛躍すると理解不能になる
意思がうまく伝わらない人に足らないもの
知識のストックが生み出すもの
失敗を恐れず、発言の機会を求めよう
●このテーマの関連図書
出口汪の論理的に考える技術(ソフトバンク文庫)
出口汪の論理的に書く技術(SB文庫)
出口汪の「すごい!」記憶術(SB文庫)
出口汪の「好かれる!」敬語術(SB文庫)
論理思考力をきたえる「読む技術」(日経ビジネス人文庫)
[出口式]脳活ノート
■参考図書 『わかりやすさの勉強法』
立ち読み可 | <出版社からの内容紹介> 池上彰氏は、テレビの現場で「わかりやすく伝える技術」を試行錯誤しながら身につけ、磨いてきました。本書のタイトルの「勉強法」は、「机に向かっての勉強」ではなく、「毎日の仕事や生活の中でできる勉強」という意味です。インプットからアウトプットまで、シンプルで、誰でも応用できることばかりです。それらのノウハウを惜しみなく、具体的にやさしく語ります。 <著者からのメッセージ(本書「はじめに」より)> 「わかりやすく伝えたい」と思っている人は多くても、そのためのコツは、なかなか身につくものではありません。そこで、そのための勉強法を紹介し、読者のお役にたてればと考えました。 私自身が、自覚しないまま日頃から実践してきたことを、「自分はどうやっているんだっけ」と自問自答しながらまとめてみました。 ここで出てくる記者の仕事やキャスターの仕事、芸人さん相手の仕事など、読者にはあまり縁のない世界に思えるかもしれません。しかし、実は、学生にとってもビジネスパーソンにとっても、参考になる点が多々あるはずだと思っています。 |
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わかりやすさの勉強法 著者 :池上彰 | わかりやすさの勉強法 検索 :最安値検索 | わかりやすさの勉強法 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
図解トレーニングで反射神経が鍛えられる
わかりやすく書くコツ
意思がうまく伝わらない人に足らないもの
●このテーマの関連図書
相手に「伝わる」話し方(講談社現代新書)
わかりやすく〈伝える〉技術(講談社現代新書)
学び続ける力(講談社現代新書)
伝える力2(PHPビジネス新書)
伝える力(PHPビジネス新書)
見通す力(生活人新書)