2019年09月03日

相手を驚かせる褒め言葉を使う


「ありがとう」

感謝を伝える言葉というのは、コミュニケーションを円滑にするだけでなく、相手に「この人の頼みなら聴いてやろう」みたいな相手を積極的にこちら側に取り込む力があります。

ただし、いつも「ありがとう」と言っていると、だんだん効果は薄くなります。これも心理現象のひとつとして説明はできるのですが(限界効用逓減で調べてみてください)、そういう事が起こりにくい、ちょっとした方法をご紹介します


■些細なことに注目する


単純に言えば、

 相手が褒めてほしいと思わなかったところを褒めること

です。

何か上司から仕事を頼まれてやったとして、上司に「終わりました」と報告したら、上司から「ありがとう」と言われれば気持ちいいです。ただ、本当にそれだけです。

それ以上、何か積極的に次も最優先でやってあげよう、と思ったりするわけではありません。
※もちろん、上司の評価は怖いので、なるべく良い顔はしたいと思いますが、それはまた別の話で

ところが、こんなふうに言われたらどうでしょう。

 「いつも僕のところに来るときに、ちゃんとメモ帳を持ってきてくれるから安心できるよ。ありがとう」

「は? そんなの当然でしょ」って思っていたことを褒められると、人間ってすごく嬉しいんですよ。本人が気づくかどうかは別にして。

あるいは、

 「この資料を作るのに、○○君にも作業を割り振れてたね。彼が成長できるように考えていてくれて嬉しいよ」

なんて言われたらどうでしょう。この人よく見ててくれたな〜って思ったりしません?

ポイントは、

 相手が同然と思っていたことで、他の人より優れていることに気づかせてあげる
 些細な行動をちゃんと見て、それを称賛してあげる

ことです。

参考にしたのは以下の本です。


★P153〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●「些細なこと」こそお礼が大切
これまで、褒めたり助けを求めたりといった「見一下手に出る行動」が、いかに人間関係において効果的に働くかを見てきた。

しかし、こうした行動のうちで軽視されがちなのが「感謝を伝える」ことだ。

私たちは、[感謝の力」を利用しきれていない。
せいぜい[ありがとう」と言うくらいだ――ランチバイキングに並んでいるときにプレートを渡してくれたとか、ドアを開けておいてくれたといった具合だ。

しかし、多くの人は、「心の込もった感謝」に秘められたパフーを忘れている。

正しく行えば、感謝は大きな効果を発揮する。
たとえば「ありがとう」と言われたとき、言われた人の脳内では「何に対してのお礼なのか」の推測が始まる。
「プレートを渡したからだな」とか、「ドアを押さえてあげたからだな」など、もっともわかりやすい理由を探す思考回路をたどり、納得する。

ところが、相手が細かい理由付きで感謝してきたらどうだろう?もっと真剣に受け止めるようになるのである。
だから、相手が予期しない理由で感謝すると効果的だ。
相手の行動を見て、手間をわかったうえで感謝していると示すことは、大きな影響をもたらす。

ヘンリック・フェキセウス(著) 『影響力の心理~The Power Games~
――――――――――――――――――――――――――――★


本書にはこの他にも、限界効用逓減の対策がいろいろ書かれています。心理学というのは本当に恐ろしい、という感じがする本です。悪用厳禁で。



■参考図書 『影響力の心理~The Power Games~




◆世界14カ国で刊行されたベストセラー! ◆


人は、何秒で他人を信用するのか?
どうして、あの人の思い通りに事が運ぶのか?
場を支配する人は、何をしているのか?
人間関係を科学的に解説した、新しい心理学の決定版!


◎ライバルが優れているほど、自分も売り込みやすくなる
◎「弱み」を見せたほうが信頼される
◎気が散る環境にいると、人の意見に流されやすくなる
◎人は集団になると簡単に操られる
◎語彙の豊富な人は知的に見える
◎「もしくは」を使うと脳が混乱する
◎「悪い未来」を想像させると提案が通る
◎「目に見えない贈り物」をすると「忠誠心」が返ってくる
◎「共通点」があると影響力が格段に上がる
◎唇からストレスを読み取る
◎人を褒めるときに「オチ」をつけない
◎前に進むためのクレームの付け方

数々の実験から導き出された、科学的に人を暗示にかけて「場を支配する」究極のテクニック!







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影響力の心理~The Power Games~
著者 :ヘンリック・フェキセウス
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●本書を引用した記事
 初対面で必ず好意を持たれる振る舞い方
 不快な状況を受け入れない
 〜だったのに、〜すべきだった、〜すればよかった
 褒めるときに落ちをつけない
 ないものはない!あるものはなんじゃ!

●このテーマの関連図書


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posted by 管理人 at 09:31| Comment(0) | 心理技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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