打ち合わせや交渉で、言葉だけで話すよりも、動作を入れたほうが効果的に相手を説得できます。よくプレゼン関係の書籍では、当たり前のように書いてありますが、実際に活用している人は多くありません。
逆を言えば、これを自然にやれるようになると、とても効果的なわけです。
同じことを言っても、数段説得力が上がります。
なにも、ちょっと話をするときに、演壇を用意して、プレゼンみたいにかっこよくやれというわけではありません。
■指差し呼称
工場に行くと、「ゼロ災でいこう!!」とか看板(張り紙)に書かれてますよね。
工場では普段どう使っているかというと、
指差し呼称
ということをやっています。
その張り紙を指差して、「ゼロ災でいこう、ヨシッ!!」ってみんなで唱和してます。
これ、何が重要かというと、その看板にまっすぐ向かって指をさすことです。
人間、指を指したものに注意が向きます。
電車に乗っていると、駅員さんが、ボソボソ言いながら(笑)あちこち指差しをしてる姿を見ますね。あれも同じ。
注意しなければいけないものを、「見る」のではなく「指で指し示す」ことでそこにしっかり注意を向ける、ということをやっているわけです。
■指で指し示されると注意が向く
単純に言えば、指し示されたものに大抵の人は注意が向きます。
プレゼンしながらでも、マウスカーソルを持っていくのもひとつの方法ですが、全身を使って指差したほうがもっと注意が向きやすいです。それが冒頭のプレゼン本にも書かれているわけです。
では、普通に話をする場合はというと
そこに書いてある○○が今後変化する可能性があるので…
というよりも
これが変化する可能性があるので…
と書いてあるものを指で指したほうが、相手の注意が指先に行く→ちゃんと見るようになるわけです。
ちゃんと見れば、こちらのもの。もう相手は次の言葉を一生懸命聞く体制になっています。
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●仕事の基本フォーム5
できるトヨタマンたちは報・連・相の際、1枚を用意する。
ここまでは皆同じ。
問題はここからだ。
「この人は本当に凄いな」という人程、1枚を使って話をはじめる際、
「今回ご報告したい件はこれです」
といって、タイトルを読み上げる。
タイトルを、「指で差し」ながら
すると、聞いている相手の目線は、その指に向けられる。
その指を書類から離すことなく、話はさらに続いていく。
「まず本案件の背景ですが、ここに記載した3つがポイントです。」
そういって、「ポイント1」の部分に指をスライドさせる。
聞いている相手の目線は、やはりポイント1に移動する。
同様の動作をしばらく続けた後、指差しはなくなり、説明は口頭中心になった。
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この観察結果を得て以来、説明の際、
「ちょっとここを見てもらえますか」
というセリフを口ぐせにした。
当然、この口ぐせは「指差し」とセットだ。
・指を差すと、そこに相手の意識が向く。
・すると、相手はこの場に集中できる。
・他のことも考えなくなる。
当たり前といえば当たり前のことだ。
当たり前過ぎて、誰からもこんなアドバイスを受けたことはなかった。
たが、優秀だと評されるトヨタマンの多くは、意識の有無は別にしても、この「指差し説明」を確かに駆使していた。
自分も試してみた結果、効果は抜群だった。
父親ほど年が離れたマネジメントでも、しっかり視線を向け、耳をこちらに傾けてくれた。
自分の話を聴いてもらえないのは、
・書類がわかりにくいわけでも、
・説明が下手なわけでも、
・若造だと見くびられている
わけでもなかった。
ただ、「指差し」がなかっただけ。
やはり、どこまでいっても、
答えはシンプルだった。
浅田すぐる(著)(著) 『「1枚」で見える化!今から「5つの働きっぷり」をカイゼンしておこう』
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相手がぼんやり聞いていると、相手は自分の聞きたい言葉だけを聞き取って、それに対して反応しようとします。
自分の言いたいところに集中させるためには、たった1秒指をさすだけで効果があります。
■参考図書 『「1枚」で見える化!今から「5つの働きっぷり」をカイゼンしておこう』
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「1枚」で見える化!今から「5つの働きっぷり」をカイゼンしておこう 著者 :浅田すぐる(著) | 楽天では見つかりませんでした | DMMでは見つかりませんでした |
●本書を引用した記事
モニタで見るより紙で見る
悩んだらフォーマットとテンプレートを探す
聞いてほしければ指で指す