割と中立に近い立場の人に、自分の意見に賛成してもらうためには何をするといいでしょうか?
個人的な印象で見ると、こうした多数派工作っぽいことを失敗する人が多いです。
それは、自分が賛同していほしい意見を言うから、「それ、自分で行っちゃダメだろう…」と思って生暖かく見ていたりします。
■人間は他人の意見で意見を変えない
経験的に見ると、多くの人は他人の意見で自分の意見を変えることは多くありません。
その人が論理性をとても重要視していて、すごく論理的にこちらから説明ができたときには、きちんと意見を変えてもらえる場合がありますが、そうでないときには、いくらろ理路整然と話したとしても、感情で拒否されたりします。逆に感情に訴えても、感情同士のぶつかり合いになってしまって、うまくいくときは少ないです。
うまくいくときというのは、
権威または職責に基づいて発言すること
です。それは、相手拝見を変えるのではなく、ヒエラルキーに従うだけなのですが、それでも表面的には服従してくれます。
■自分の意見は自分の発言に左右される
以下のような話があります。
★P44〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●自分で自分を騙すとき
人は、新しい考えを受け入れることが得意ではない。
もとからある考え方を補足するほうが、新しい考え方を受け入れるよりずっと簡単だからだ。
そして、人は自分の意見を口にするたび、ますます強固に信じ込むようになる。
それ故に、誰かの心を動かしたいときは、一相手がもともと持っている意見」に注意したほうがいい。
あなたの焼くケーキは世界一おいしい、と隣人が思い始めているとしよう。
その考えをより強固なものにしたいのであれば、できるだけたくさんの人に向けて、そのケーキのおいしさを語ってもらうといい。
インスタグラムに投稿してくれればさらにいい。
ご存じのように、公の場に自分の意見を公開することによって、我 々 は、ますます自分の意見に説得されていく。
これは、最初から考え抜かれたものでなくても、同じ結果になることがわかっている。
一度その意見が書かれ、シェアされると、意見を引っ込めるのに多大な労力がかかる。
それはつまり、キーボードや、ペンや紙や、文字などは、あまり乗り気でない相手をその気にさせるのに最適なツールだということだ。
これは、あなたを良い人と思わせるためにも、共産主義を偉大だと思わせるためにも使える(信じられないかもしれないが、これとまったく同じテクニックが歴史上でも使われている。
朝鮮戦争時、中国の役人たちはアメリカの戦争捕虜たちに共産主義の教義を読み書きさせ、資本主義を批判し、良き過激派共産主義者になることを宣言させた。
これにより多くの者が実際に思想を変化させ、熱心な共産主義者としてアメリカに送り返された。
しかし中国軍は、同じことがアメリカ社会内でも行われることを計算に入れておらず、多くの兵士たちは母国に帰ってからすぐに幸福な資本主義者へと後戻りした)。
相手がもとの意見を自ら意見を強化していけば、反対者がでたところで意見を変えるはずもない。
それどころか、反対意見を唱える者は物事を考えられない愚か者だと捉えるはずだ。
だが、相手の意見を強化したくない場合はどうだろうフ隣人があなたのケーキをまずいと思っている場合には、相手の意見を変えたいはずだ。
そんなときは、その意見を誰にも伝えさせてはいけない。
あなたも、ケーキについて、その人になにかたずねてはいけない。
相手は、意見を口に出すたび、さらに自分の意見(あなたのケーキがおいしくないこと)を信じてしまうことになる。
相手が意見を口にする機会を減らせば減らすほど、相手の意見を操作できる可能性は高まる。
まだ口にしていない膿い意見を退け、代わりに大多数の意見に賛同しやすくなるのだ。
あなたは、繰り返し逆の意見を聞かせ、それを大多数の人が信じていると説明し、自然に信じてくれるまで待てばいい。
ヘンリック・フェキセウス(著) 『影響力の心理~The Power Games~』
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これを読んでわかるのは、人間は、自分の感じていることを言語にすると、それによって自分自身を説得してしまう、ということです。
■自分で説得して貰う方法
よく、セミナーや会社の講習会などに出ると、最後に「コミットメント」というセッションがあります。
このセミナーで学んだことを今後どのように生かしていくのか
という発言を全員の前で発表させるやつです。経験がある人も多いでしょう。
そのときにセミナーの趣旨に逆らったコミットメント(宣言)をする人は少なくて、フォロワーシップのセミナーなら
「これからは課長の意思を汲み取った行動を取ります」
みたいなことを言わされるわけですね。で、そうするとだんだんそれをしないといけないような気がしてくる…と。
カルト教団なんかもそのたぐいですね。
会社の方針を管理職にだけ説明しておいて、管理職から部下に説明させるというやつも同じです。
管理職がその方針に納得していようといまいと、「部下にこの方針を説明しなさい」と言われれば、説明せざるを得ない訳です。その結果管理職自身がそれで説得されてしまって、会社はスムーズに運営できる……と。
今どきなら、やろうと思えば、説明のメッセージを社長がビデオメッセージにして社員に見せるというのは簡単なことなのに、それをせずに管理職だけこっそり集めて説明しておいて、「部下に共有しなさい」というのは、もちろんその部署ごとの特殊事情を含めて状況に合わせた言葉で説明するという面もありますが、自分は、管理職自身を自分で説得させるという、この心理学的効果を狙っているのではないかと、穿った見方をしたりしてます。
まあ、自分がやる分には良いですが、やられると(それの意図を理解してしまっていると)ちょっと気持ちが悪いですね。
といって、逆らうほどの度胸もあるわけではないですが。
■参考図書 『影響力の心理~The Power Games~』
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●本書を引用した記事
相手を驚かせる褒め言葉を使う
初対面で必ず好意を持たれる振る舞い方
不快な状況を受け入れない
〜だったのに、〜すべきだった、〜すればよかった
安心感を揺さぶる
褒めるときに落ちをつけない
ないものはない!あるものはなんじゃ!
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