結構多くの会社で、「我社はチャレンジ精神を大切にします」とか「チャレンジしよう!」という標語や目標が掲げられていますが、それは自分のためになっているでしょうか?
■会社は組織のためにチャレンジさせたい
会社(の役員)は、なぜこの「チャレンジ」という言葉を使うのでしょうか?
社長を始めとする役員のモチベーションは、会社の利益の向上です。利益が大きくなれば当然自分の給料が上がりますし、その結果会社の株価が上がり、会社の株を所有していればそれだけの利益を得られます。
もちろん、一般社員であっても会社が利益を出せば、給料はちゃんと支払われるでしょうし、来年もこの会社でよく知った作業を続けられる(レイオフされて路頭に迷うことがない)というメリットがあります。
ただ利益の構造は、売上―必要経費 です。つまり、より少ない人数でより大きな売上が上げられれば会社は儲かるのです。
そのため、ひとりひとりの従業員の労働力を増やすことは会社の重要な目標なわけです。
従業員が今までやれなかったことができるようになれば、同じ給料でより高い結果を出すことができます。結果として会社はより儲かるわけですね。
この論理を否定する気はありませんが、従業員に「120%の力を出せ」とかいうのは、「多少の無理をしろ!」と言っているのと同義なのでは? とか思ってしまうのは私だけなのですかね?
ですので、「従業員の成長のためにチャレンジを奨励している」と言いながら、「会社の役に立たないチャレンジは認めない」などと言うことが起きるわけです。
■MBO制度による評価はチャレンジを阻害する
一方で、サラリーマンはMBO(目標管理制度)によって評価されるため、目標を達成できたかどうかが重要です。もちろん、目標の設定時には、その目標が妥当かどうかは判断されますが、実績の報告をしたときには目標が妥当だったかどうかは判断されません。
会社で「少しだけ背伸びをした目標をたてよう」と言われたときに、その背伸び具合をどのように評価するのかは明確な基準がないものなのです。したがって、「チャレンジ精神で高い目標に設定しよう」ということに対して素直にそのとおりにすると思わぬバカをみる可能性も考えないといけません。
もし上司から「目標が低すぎる」と言われる可能性があるなら、高く見える目標をたてることです。
それよりも、自分がやりたいこと、自分を成長したいことに重点を置く(そちらには本当に高い目標を掲げて努力する)ことのほうが、自分にとっての満足感や納得感が高まります。
◆このテーマのおすすめ図書
一瞬の選択力瞬時にベストな解を出す方法
単行本(ソフトカバー)
同一労働同一賃金を実現する職務分析・職務評価と賃金の決め方
図解きほんからわかる「モチベーション」理論
学びを結果に変えるアウトプット大全
幹部の育て方スターターキット