2020年05月07日

洞察力が問題を解決する4


久しぶりにビジネス書の紹介。

「洞察力」「観察力」みたいなものは、スキルとしてあるプロセスで学習すれば身につくというものではありませんね。しかし、それを身につけるまでのプロセスにはいくつかのパターンがあるようです。本日は、洞察力とはどのように発揮されるのか、それを組織としてどのように育てていくのかについて考察した一冊です。

長文なので、分割しておお送りしています。
本日は最終回。要約のパート3です。


■Pert3 目には見えない問題を見抜く「心の扉」を開け放つ


このチャプターでは、「見えない問題を無温力」を本当に高めてくれるのに役立つものを学んできたのかを検証する。

私たちが何かの矛盾を見いだすのに、コロンボ刑事は必要ない。「見えない問題を見抜く力」を発揮させるきっかけとして、不明瞭な点、矛盾点、そして対立する点を利用することで、自分たちで問題を解決することができるのである。たいてい、そういった矛盾した問題に巻き込まれるとき、私たちは困惑してしまうものだが、そこには問題解決への糸口が残されているものである。私たちは単に、自分たちがろうばい狼狽したという感情を好奇心に変えればいいのである。そうして「ティルト反応ー」を利用することができる。

ジンジャーとデニスの話は、人が矛盾から目を背けることより、それをどうやって利用するのかということを教えてくれる。
デ二スは、自分の「エピファ二ー(人モノ事の本質が露呈する瞬間)」によって、思春期直後の間もない状態から大人になれたのである。彼の「見えない問題を見抜く力」は、社会的に捨てなくてはならない子供の頃の振る舞いに影響したのである。


この出来事のあと、消防司令長は私にこう語った。「それから、私は気がついたのです … … 。彼の態度に問題があったのではなかったのです。そうではなく、私自身に態度の問題があったということです」これこそが「ティルト反応!」である。その若い消防士は、実行するうえで意味のある自分自身の計画を持っていたのであり、消防司令長は彼からそういったことを学ぶことをしなかったのである。

消防司令長がそうした自己矛盾を発見することができたのも、他人のものの見方を模索したからであり、また、自分の矛盾したものの見方に心を開いて受け入れたからである。

●アイディアの渦巻きを起こすためのアドバイス
出来事のつながりを見抜くことから発見に至るまでのプロセスは、多くの概念がお互い渦を巻くように存在し、偶然な形でお互いにつながり合うことで発展する。より渦を巻いて荒れ狂うほど、物事を発見するチャンスが一層高くなる。

もし私たちが出来事との偶然なつながりを見抜く機会を増やしたいのならば、馴染みがないような活動にもっと多く参加してみることで、本質を見抜く力を高めることができるかもしれない。

私たちは、いろいろな経験をすることを心がけることができ、異なるタイプの人たちと出会う機会を増やすことができ、さまざまな場所で働くことができ、新しい考え方で自身を問いただすことができる。そうした考え方のそれぞれは、私たちの新しい考えの支えにもなり得るもので、概念の新しい組み合わせという実を結ぶことになる。

●「批判的思考」が活用されるとき
やけっばちな推測から発見へのプロセスは、異なる心構えが必要となる。私たちは追い詰められた状況において、心の中に仕組まれている罵から脱出する方法を見いださなくてはいけない。私たちは何かを見逃し、根拠に欠ける仮定をしているのである。

私が思うに、仮定していることをすべてリストアップするという方法は、すでに述べたような後ろ向きの思考になるというバカげた発想から出てきたものではないかということである。もし思考プロセスを逆にたどって思考の始まりに戻り、疑わしく思われる前提を根こそぎ削除することで解決を図ろうとすれば、仕事の生産性を高めることができると考えることにあり、従業員たちが根拠の最も弱い仮定を見いだすことによって生産性が高まるということである。

おそらく、最も効果的な戦略とは(批判的思考」と呼ばれるものを取り入れてみることだろう。これは事実を体系的に分析し、仮定していることを考察するための思考プロセスであり、エネルギーを費やして、すべての仮定をリストアップするようなことは必要としない。私たちが批判的思考を正しく理解している限りにおいて、優れた判断や意思決定をしたいのであれば、この思考法は明らかに重要なスキルである。ところが、批判的思考の提唱者によっては、極端になりすぎている部分もある。どのようなスキルにしても限界があるのだ。大きなリスクを嫌がる組織は、この批判的思考の研修プログラムを受け人れてきた。

それは、「パフォーマンスを向ヒさせる上への矢印」が仲ぴるのを阻害してきたのである。

そういう意味では、多くの点で[見えない問題を見抜く力」を発揮させることに反する。それでも、もし批判的思考がこの力を向 L させる余地があるとすれば、それは、やけっばちな推測を働かせるときであろう。そのときこそ、発見を邪魔する誤った仮定から解放されなくてはならないのである。

●組織におけるパフオーマンスの上下の矢印
組織が「見えない問題を見抜く力」を発揮させるようにするということは、次ページの「パフオーマンスの方程式」において、下の矢印だけが一方的に伸ぴることを抑えることを意味している。

それゆえに、組織は上下 2 本の矢印のバランスうまり、ミスを減らしてヒの矢印が伸びるようにすること、また、その一方で「見えない間題を見抜く力」が伸びるようなバランスをとるようにしなくてはならない。組織で働く人たちは、予測可能性と完壁主義というプレッシャーに直面していて、経営者たちは、できるだけ厳密に予定や作業を明確化し、[見えない問題を見抜く力」を、予

定を狂わすものとしてみなそうとする。そのうえ、ミスというのは公に知られることになる。つまり、ミスは人の目に見える可視的なものであり、ミスを追跡調査して、測定することもできる。経営者は、従業員たちがいい仕事をしている証拠として、失敗する率を減らすことを示すことができるのである。

単純な解決策は、そのような手を緩め、検証する回数を減らし、ミスを防ぐために設計された活動を抑えることである。もし私たちが下への矢印を車のブレーキのようなものだと考えるのならば、組織はブレーキを強く踏んでいるのをやめる必要がある。

また、従業員たちが組織内で「見えない問題を見抜く力」を発揮できるようになったと騒ぎ立てていたとしても、そうした改革者たちのほとんどが幸せな結末を迎えることはなかった。だからこそ、組織が今まで重視してきた管理手段のいくつかを捨てるように期待することは現実的ではない。そうした管理手段が、組織運営のすべてなのである。予測可能性と完壁主義の必要性が人 々 の労働意欲を高め、彼らの行動の予定を組むのであり、それは組織のプ口グラム、プ口ジェクト、そして人 々 を管理するための本質なのである。一体、私たちは何をすることができるのだろうか?

●パフオーマンスを上げる上への矢印を強化する
ひとつのアイディアとして、発見に導くような活動を活発にするために、「見えない問題を見抜く力」を提唱するチームを立ち上げることである。

チームメンバーは、普段の仕事に加えて、組織の中をぶらぶらと歩き回り、[見えない問題を見抜く力]が発揮され、問題解決のための新しい発見がもたらされた事例を収集するのである。その方法は、私が事例を集めたやり方と同じである。チームは毎) J 、最高の事例を社内に拡散して知らせることで同僚を励まし、また、従業員たちの「見えない問題を見抜く力」を組織が重視していることを示すのである。

●情報を選別する下への矢印を緩める
企業がミスを減らそうとするドへの矢印をあれこれフィルタリングをかけ、物事を駄目にしてしまうような体質を変えるための 1 つの方法として、もうーつ別の報告手段を準備するというものがある。そうすることで、従業員たちは従来の報告手段を通す必要もなく、個人としての意見を言うことができる。

ところが、私たちは情報選別のフイルタリングの審査過程をそこまで緩めることはできない。

思い出していただきたい。私たちの目的は、 2 本の矢印のバランスをとることでパフォーマンスが高まるようにすることである。一方の矢印が、他方の矢印に対して支配的になることではない。組織に起こり得る、あらゆる可能性のあるアイディアを検討するのならば、混乱した状態になり、機能不全になることだろう。

だからこそ、「見逃された意見の再審議場]は、審査過程の中間段階では役立つかも L れない。それは情報選別のフイルタリングを取り外すことではなく、フイルタリングは残しておき、たとえば、従業員たちが警報の内容について異変を強く感じる場合、再審議するための場所を準備するということである。この見過ごされた意見書の再審議場で、リスクをとることを嫌う経営者たちが、理にかなった意見を却下してしまう可能性を抑えることができるかもしれないのである。

●組織は意識力を高めるしかない
この 2 つの事例は、それぞれの企業に「見えない問題を見抜く力」がなかったわけではない。両社に欠けていたものとは[意志力」なのである。

たいていの場合、[継続的な変革」というものは、「見えない問題を見抜く力」が偶然にも関係すると私は懸念する。継続的か、もしくはある一定期間の変革を提唱することは、それがルーチン化された行動のようになってしまうからである。対照的に、「見えない問題を見抜く力」を発揮するということは、偶発的なことである。継続的な変革に執着し、やけっばちな推測という力に頼る企業は、出来事のつながりを見抜く力、偶然の一致を見抜く力、好奇心、出来事の矛盾を見抜く力を敏感に感じ取る企業とは異なる。

組織が意志力を発揮するのは、企業か「見えない問題を見抜く力」、特に企業の初期段階での目的に向けてこの力を働かせるときである。目的へ向けての「見えない問題を見抜く力」というのは、目的に到達するために臨機応変に調整されるような目的ということではない。それでは、目的そのものを変更していることになるからである。


もし私たちが、「見えない問題を見抜く力」を抑圧している組織を救いたいのならば、なぜ組織が悩んでいるのかということを診断することから始める必要がある。もし、あまりにも組織化(管理され、ミスを嫌い、「見えない問題を見抜く力」を発揮できない状態)が進んでいるからなのであれば、そうした管理を緩和し、ブレーキを緩める必要があるだろう。

その一方で、「見えない問題を見抜く力」を発揮しでいる従業員たちを認め、同時に励ます方法も見いだす必要がある。もし、組織が情報フイルターにかけて除外するのであれば、そのフィルターを再調整し、抜け道を設定することで、その通過点において発見が引っかかってくる必要がある。

以上、私は「見えない問題を見抜く力」の障壁を乗り越え、組織の心構えとモチべーションの高め方について話をしてきた。

では組織は、どうやって自分たちが直面している間題や、それに関する問題を知ることができるのだろうか?それは、個人レべルではなく組織レべルで、自己流の「見えない問題を見抜く力]を発揮するしかない。

考えるべき別の手段があるとすれば、組織のリーダーたちに組織文仕を変えさせようと働きかけることである。

もし組織がミスを減らす下への矢印や、ミスや不確実性を減らすことを強化するのであれば、その組織は思うような結果を出せずに苦しむはずである。

組織は、「見えない問題を見抜く力」を発揮できないわけだから、それほど革新的でなくなるはずである。

結果として、本来期待されているほど成功できないことになれば、リーダーたちはパフォーマンスを向上させる上への矢印と下への矢印のバランスをとろうとするはずである。

これは理論である。私たちは、 2 本の矢印がバランスがとれていないことによる悪影響を彼らに示す必要があるのだろう。理想的には、組織が下への矢印を過剰に強化したとき、どのようなことが起きるのかということを証明するための調査を行うことである。


◆見えない本質を見抜く人になるヒント


私たちが一見えない問題を見抜く力」を発揮させるためには、その力に対して、あなたの心を開くことである。つまり、そうした力を追求し、包み隠しているものを解き放つことができることを意味する。

もしあなたが人の知性を尊敬するような方怯で、その人物のことを調べることをしないのならば、その人から何か多くのものを発見することはできないであろうということである。
「アプリシエイティブ・インクワイアリー」を活用するうえで重要なことは、素っ気ない態度ではなく、大らかな心構えで他人の話を聴いたり、観察するということである。

●チェックリスト
あなたが、一なぜ、人がある特定の方法で行動したのかフ]ということを理解しようとするとき、厳密に調査することを手助けしてくれるチェックリストを利用するといい。

 ・その人の持っている知識
 ・その人の考え方や経験してきたこと
 ・その人の考えや行動への動機
 ・その人が考える物事の優先順位
 ・その人が制約している条件

このチェックリストは、あなたが物事の進展を明確にするための、より詳細な点を調べる方法を示している。これを利用することで、あなたはそうした物事の流れをより深く理解できるようになる。

◆見えない問題を見抜く、「洞察力」を使いこなせ


私たちは、新しいストーリーから元のストーリーまでの転換の過程をさかのぼってみて、どのようにアイディアが閃いたのかを見いだすことができる。しかし、その逆の作業はできないのである。アイディアというのは、元のものとは異なるストーリーに対して、予測不可能なほど跳躍的な性格を持っている。私たちは不意な形でアイディアが思いつくものであり、それは意識的で、意図的で、演織的で、もしくは統計的な推論の産物ではないからである。だからたいていの場合、他の人が、あなたが保持している同じ情報を入手したとしても、彼らにアイディアが閃くことはないのである。

●「見えない問題を見抜く力」の可能性を求めて
「見えない問題を見抜く力」というのは、それ自体が注意を発することもなく、私たちの予期に反して突然に発揮される。その魔法こそが、人間の創造力なのである。それは、私たち自身の中に存在し、絶え間なく湧き起こっている力なのである。



■参考図書 『「洞察力」があらゆる問題を解決する




ホワイトハウス、米空軍省で採用された問題解決法が日本初上陸!

著者ゲイリー・クラインは、実験現場で研究される、これまでのスタイルを打ち破り、全米で初めて「現場主義的意思決定(NDM)理論」を生み出した認知心理学者である。

この本は、NDM理論を応用し、普段、人の目には見えない物事の本質を見抜く、いわゆる「見えない問題を見抜く力」について説かれている。

個人にしろ、組織にしろ、問題を解決するためには、「いかにミスをなくすか」というウエイトに重きを置き、パフォーマンス向上を図っている。
しかし著者は、それに相対する、「見えない問題を見抜く力」を高めるほうが、問題発見・問題解決に効果があるという。
そんな「見えない問題を見抜く力」の答えを、実験室ではなく出来事の起こった現場に求め、論理的や分析的な方法よりも重要な問題解決法を提示する。

本書には、現場からのさまざまな出来事の事例が掲載されている。

など、ほかにも多くの事例を検証しながら、「見えない問題を見抜く力」の正体に迫っていく。

本書に書かれているゲイリー・クラインの理論は、個人や組織の問題解決法として、技能・性能・生産性のパフォーマンスを向上させる大いなるヒントとなるであろう。





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「洞察力」があらゆる問題を解決する
著者 :ゲイリー・クライン
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●このテーマの関連図書


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posted by 管理人 at 12:05| Comment(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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