誰かを説得したいと思ったとき、その言い方でずいぶん結果が変わります。
その時の単純な法則は、「あなた」と「私達」を主語にすることです。
■主語によって、受ける印象が変わる
以下の文章を読んでみてください。
・管理職になるためには主体性が必要です
・私達は主体性を持って物事に取り組まねばなりません
・あなたには主体性が必要なのです
言っていることはほぼ同じで、「主体性を持ちましょう」と言っているだけです。
でも、これを聞いてみると多分、「管理職になるためには〜」では、「そうだな、主体性を持とう」とは思えないでしょう。
人が色々なメッセージに触れるときに、自分ごととして捉えるのか、他人事に思えるのかはそのメッセージの主語に依存しているのです。
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●「あなた」を文頭に持ってくると強力なメッセージになる
「これは自分にどんな関係があるだろう?」
何かを見たり、聞いたり、体験したりしたとき、まず私たちの頭をよぎるのはこうした問いだ。
無意識のうちに、私たちは日々数えきれないほどそのような自問をしている。
その次にくるのは、「それは自分にとってどんなメリットがあるだろうか」という問いだ。
だから、こちらは常に相手の頭の中にあるこの種の間いに、答えてあげればいい。
これだけで、何かを提案したときに受け入れられるかどうかに大きな違いが出る。
ポイントはひとえに「あなた」という語をどこに置くかだ。
「あなた」という語は、できるだけ文頭に持ってくるように心がける。
すると、あなたが相手のこと、そして相手の関心を第一に扱っていると伝えることができる。
:
:(中略)
:
また、「助けが必要なんだ」と言う代わりに、「助けてもらえないかな?」と言うとよい。
言葉の上ではわずかな違いだが、受け手の心理には大きな違いがある。
前者の場合、「自分」が主語になって、「助けを必要としている」と述べているにすぎず、行動するか否かは、同僚の側に託されている。
しかし後者の場合、「あなた(同僚)」が主語になっている。
この場合は、できる範囲で助けてくれることになるだろう。
同僚は自分のことを、親切で役に立っ人間だと思っているからだ(ほとんどの人はそのように思うものだ)。
ヘンリック・フェキセウス(著) 『影響力の心理~The Power Games~』
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■誰か助けてください
もう一つの心理学的な実験で、誰も知っている人がいない状況で何らかの体調不良に見舞われたときに、何ていうかによって通行人に助けてもらえる確率が変わるという実験結果があります。
膝をつき胸を押さえて「誰か助けてください」
と言ったときと
膝をつき胸を押さえて「そこの青い服を来たあなた、119番に電話をしてください」
ひとつは、「誰か」ではなく「あなた」。
一般常識があるレベルの人であれば、困っている人がいて、自分に助けるだけの余裕があるのであれば、助けたほうがいいとは考えるでしょう。まあ倫理規範みたいなものなので、その範囲外にいる人はいるにはいますが、無作為に選んだら、「助ける」ことを選ぶ人がおおいと思ってます。
ただし、それができる人が大勢いるときには、誰も自分から助けに動くことに躊躇します。
それを変えてしまえば、助けて貰える確率は上がります。
それが、顔を見て、他の人から明らかに誰に言っているかがわかる特徴を挙げてしまうことです。そうすれば、その人は大抵は助ける方向に動くでしょう。
もうひとつは具体的な行動を示すこと。「助けてください」だと何をすればいいかわかりません。「119番に電話をしてください」は取るべき行動がはっきりしてます。だからそのように動いてもらえる確率が高いのです。
ここまで言われて、「はぁ? なんでオレが?」といえる人は、確率的には少数なのです。
「誰か助けてください」よりも助かる確率は相当上になるでしょう。
■行動を起こしてほしいのなら…
他の人に行動を促す必要が出てくることは、仕事をしていれば数多くあります。
そのときに、明後日の方向を向いて一般論を述べても、聞いて欲しい人が行動を変えることを期待することは過剰期待です。そうではなくて、相手の顔を見て
「あなたに○○をしてほしい」
と伝えれば、長期的に継続してやってくれるかどうかは別にして、短期的なこと、行動が明確なことならやって貰える確率は高くなります。
主語と具体化
これだけであなたのメッセージは強力になります。
■参考図書 『影響力の心理~The Power Games~』
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●本書を引用した記事
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相手を驚かせる褒め言葉を使う
初対面で必ず好意を持たれる振る舞い方
不快な状況を受け入れない
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