「一方的に話し続ける人」というひとと会議や会話をするときに、その状態に身を委ねてしまうのは危険です。会話の主導権が自分にないのだから、自分が望む結論に持っていくのはほぼムリです。つまり相手の思うままにされてしまうとういこと。それを回避するためには、会話の主導権を取り返さないといけません。
■主導権が自分の仕事量を決める
主導権がないというのは、とにかく相手の都合の良い結論になりがちになります。そのままでは、あなたは仕事を余分に押し付けられ、期限を勝手に切られて大変な思いをするだけです。
たとえば、チームで仕事をするときに、「誰がやってもできる仕事」「自分がやらないとできない仕事」があるでしょう。責任範囲上も誰の責任範囲か微妙な仕事があると思います。そうした仕事は、会議などで主導権がある人が、「○○さんお願いできるかな?」と発言されてしまうと、もう不可避ですよね。大体の場合、この発言が出てきた時点で、質問ではなく指示命令に近くなってしまいます。特に上司がそうした発言をしたら。
そうなる前に、「その仕事は××さんが適切」と発言してしまえば、その仕事はあなたがしなくても済むのですよ。
■会話の主導権とは
まず、会話の主導権とはどのようなものかについて整理しておきましょう。筆者が考える会話の主導権というのは
・議題を自分の希望に沿うものにする
・結論や結論に至る道筋(会話のテーマの変遷)を自分が思い描いているように持っていく
・議論の転換点を自分がめることができる
ということです。最終的には、結論を自分にとって都合のいいものにすることができることが主導権を握った結果であるということです。もちろん、自分の都合が良い結論と言っても会社や組織の利益にならないことはだめですが、そこは大前提ということで。
■会話の主導権を握るには
会話の主導権を握っている状態というのは、決して喋っている語数の多さではありません。話題(話しているテーマ)を変える発言をした人が主導権を持っているということです。ただし、やっぱり口数が多い人というのは、どうしても会話の主導権を握りことができる可能性が高くなります。
口数が多い人というのは、誰の発言を途中で遮って自分の発言を仕出してしまうとか、一度話し出すと止まらないとか、いろいろ会議などでは困り物の場合もあるのですが、終始テーマを出し続けるという意味では、主導権を握って話さないようにしていると言えるのです。
筆者も口数はかなり少ないほうなので、話の切れ間に「あ〜」とか「え〜っと」とか言って人の意識をこっちに持ってきてから出ないとなかなか話せないです。実際、筆者から見ると、口数が多い人に対しては「羨ましいなぁ」とか思います。色々なテクニックを考えて主導権を握ろうとするのではなく、そもそも主導権とか対して考えなてくて、素で主導権を握ることができるのですから。
ただ、そういうことができない人には主導権を握るテクニックは必要で、努力してそれを身につける必要があるのです。
■人の話を整理する
まず、発言のきっかけをつかむには、相手の言うことを整理してそれが正しいかどうかを確認してもらうことです。
本書『影響力の心理~The Power Games~』では、以下のような質問をするといい、と書かれています。
★P189〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●話を遮って主導権を握るために
すべきことは簡単だ。
相手の言うことに心からの関心を示しながら、次の言葉で相手の話を遮ればいい。
「待って。あなたの話をちゃんと理解できているか確かめてもいいですか?」
そして相手が今言ったことをそのまま繰り返そう。
あまりにシンプルだからといってガッカリしないでほしい。
ここで何が起こっているか、もう少し詳しく見てみよう。◇ステップ1
なぜなら、前の発言にどう答えるか、どう話の流れを持っていくかに集中するあまり、相手の発言内容に注意が払えなくなるからだ。
これはすべての人に共通する脳の働きであるため、誰もがこうした状況になることを理解している。だからこそ、理解度を確かめるために話を遮ることには、多くのメリットがある。まず、相手の話をきちんと聞こうとしていた姿勢を伝えることができる。
さらに、多くの人と違って、少しの誤解もしたくないほど相手の発言を重要視していることが示せる。◇ステップ2
相手は話し続けるのを止めて、あなたに耳を傾けてくれるようになる。そればかりか、積極的に話を聞いてくれるようになる。
「ちゃんと理解しているか確かめたい]。
このセリフによって、どんなに怒っている相手であろうと、口をつぐんであなたの話を聞いてくれる。
相手も自分の発言が正確に理解されているのか、確認したいのだ。目の前の人物が話を聞いていなかったかもしれないと疑っていればいるほど、よ。熱心にあなたに耳を傾ける間還って理解されていないか確認するためだ。
。◇ステップ3
実際にあなたの理解が間違っていると、相手は発言を正してくれる。そうすると 2 人の間に共感が生まれる。
なぜなら、同じ議題について一緒に理解しようとしているうえに、人は自分に関心を持ってくれる人を好きになるからだ。
このように会話の流れが進むと、最初は反対意見を持っていた相手であっても、共感をしてもらえる。
ヘンリック・フェキセウス(著) 『影響力の心理~The Power Games~』
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本書では、「あなたの発言は整理するとこういうことですね」と発言するということになっています。
ただ、それも難しい場合があります。たとえば自分よりもその仕事に精通していると思われる人、あるいは自分より年長の人が多く参加しているという会議などでは、「すみません、おっしゃっていることはこういうことでしょうか?」と確認することはなかなかできません。それがたとえば自分の業務に関する専門用語だったりすると、恥ずかしくて聞けないとかもあるでしょう。■主導権を取りたかったら書紀をする
筆者のおすすめは、書紀や議事録係を申し出ることです。
これでしたら、わからないことは、「(議事録にまとめたいので)このような発言でいいですか?」と聞きやすいからです。さらに、議事録係はもうひとつ良い点があって、自分が重要だと思えないこと(つまりは議論を進めたい方向ではない発言)は無視してしまえることです。
最近はホワイトボードでなにか書くということも少なくなって、多くの場合議事録はテキストファイルや Word 、Excel などに書き起こしているでしょう。それをモニタに映しながら、参加者の発言をまとめていくという場合が多いと思います。
そうした場合、自分の都合のいい方向に議事録をかけば、よほどのことがない限り、それが結論として残ります。
どうしても自分の期待する方向に議論が進まないときには、最初に書いた「議題」の項目に戻って、それをハイライトしてやれば、みんなは、モニタを見ているので、自分発言しなくとも議論がずれてきていることに気がついて、多くの場合は軌道修正がされます。
発言しなくても、自分の都合のいい方向に議論を引っ張っていけるのは、書紀の約得です。
多くの人がそれを理解していないので、「自分が書紀をやります」と手を上げると、「なんと奇特なやつだ」と思ってくれるでしょう。それだけでも、「まあ、一言くらいあいつの言うことを聞いてやろうか」という気になってくれるというものです。
■参考図書 『影響力の心理~The Power Games~』
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影響力の心理~The Power Games~
著者 :ヘンリック・フェキセウス楽天では見つかりませんでした
影響力の心理~The Power Games~
検索 :商品検索する
●本書を引用した記事
「あなた」を文頭に持ってくると強力なメッセージになる
相手に自分自身を説得してもらう
相手を驚かせる褒め言葉を使う
初対面で必ず好意を持たれる振る舞い方
不快な状況を受け入れない
〜だったのに、〜すべきだった、〜すればよかった
質問や反対意見は合意のサイン
安心感を揺さぶる
褒めるときに落ちをつけない
ないものはない!あるものはなんじゃ!
●このテーマの関連図書
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