「我思う故に我あり」(デカルト)
「全てを疑え」(マルクス)
「神は死んだ」(ニーチェ)
「目は心の窓である」(プラトン)
「天才を知る者は天才である」(ヘーゲル)
「人間は時間的な存在である」(ハイデッガー)
仕事のヒントと銘打ったこのブログでなにを御大層なことをと思えるかもしれませんが、これらの言葉の正確な意味はわからないにしても多くの人が聞き覚えがあるのではないでしょうか。これらの言葉が生まれるまでには膨大な思索があり、それらをすべて包括するようにして、ものすごく印象的で象徴的に組み立てられた言葉であることはわかるのではないかと思います。
普通のサラリーマンがこんな言葉を残すことはできませんが、そこから学んで少しだけ真似をすることができます。それは、自分の意見を短くまとめることで相手にしっかり印象に残すことができるという技術です。
■短く表現しないと記憶には残らない
前述の名言の特徴は、短いことと、想像力を掻き立てることです。これは流行語になった言葉でも同じですね。
「あたり前田のクラッカー」(前田製菓)
「亭主元気で留守がいい」(金鳥ゴン・大日本除虫菊)
「24時間戦えますか」(リゲイン・三共)
「私は"コレ"で会社をやめました」(禁煙パイポ・アルマン)
これらは記憶に残りやすいのです。
たとえば、プレゼン資料などを作るときに、言いたいことを正確に伝えるために言葉を尽くして書いてある資料があります。
DXのためには、まず生産性を高めるために高性能なPCをすべての従業員が活用し、時間の係る手続きや書類を簡素化することが必要。つぎに、今の業務プロセスに合わせてシステムを構築するのではなく、世の中で標準的に使用されているアプリケーションを使って自分たちの仕事のプロセスを変えること。そのために日常的な業務をなくせないかと前提を疑い、改革することが重要。
と1ページにびっしり書いてあっても記憶には残りません。なにかいっぱい書いてあったなぁとは思うでしょうが、もう一度言えといわれてきちんと思い出せる人は少ないでしょう。
昨日までをシンプルに!!
と書いてあればどうでしょうか。
■20文字以内で表現しなさい
筆者は若いときに上司から、「今年の業務の目標を20文字で書いてもってこい」と毎年言われました。当時は毎年、「文字数が足らない」とか「なにが言いたいかわからない」とか言われて、何度も何度も突っ返されるのですごく嫌だったのを覚えていますが、今になってそれがどれほど重要なことだったのかを思い知らされてます。
20文字というのは、だいたい一気に言える最大文字数です。なので、絶対に20文字ということはないのですが、自分の考えていることを表現するためには、哲学者みたいに言葉をとことん突き詰めて考えられない凡人には最小限の文字数でもあります。
この記事を読んでいる人には、自己啓発書などを読んで目標を手帳に書いている人もいるとは思いますが、その文字数はどうでしょう?
手帳のページの半分くらいを使って、たくさんの目標を書いている人も少なくないのではないかと思います。
「海賊王に、オレはなる!」
シンプルで切れの良い言葉が書いてありますか?
同じくプレゼンなどでも人間がパッと見てひと目で理解できる文字数というのは、だいたい20文字が限界と言われています。それ以上だと、じっくり読まないと理解できないのです。考えないとわからないものに対しては、反応は2通りに別れます。頑張って理解しようとする場合と、考えることを放棄してしまう場合です。
プレゼンに対して思い入れのある人は前者の行動を取りますが、ほとんどの人は後者、つまり「ふ〜ん?」と思って聞き流す(見流す?)だけなのです。
パッと見て、その言葉全体を捉えて処理できるのはそのくらいの文字数が限界なのです。
■単に短くしてもダメ
ここまで書いた事例からもわかると思いますが、単純に言葉を短くしてもダメです。
先程のDXの例で言えば
「シンプルに!」
では伝わりません。短くすればいいというわけではないのです。そのメッセージの内包している戦略的な位置づけや前提条件、時系列的な概念などをしっかり取り込んでいないといけないのです。
標語なども同じで、長い標語はそこに書かれているものがどれほど良いものであっても、100文字にもなるような標語は誰も覚えてくれません。
必要なものを残し、不要なものは捨てる
必要なものをすぐに使えるように置くところを決めてかならずそこに返却する
掃除をしてホコリ・ゴミがない状態にする
必要なものが必要な場所にありきれいな状態を常に維持する
と言うより
整理・整頓・清掃・清潔
と言うべきなのです。
■俳句にする
ところで、日本語にはすごく便利なものがあります。俳句です。あの、"5・7・5"というのはすごくリズムがいいですよね。これを使うと17文字になります。覚えるのにも丁度いいのです。
今日からこの練習をしませんか。
今日の目標や1日のまとめを俳句で表現するのです。もちろん、季語だとか字余り・字足らずなどは気にする必要はありません。5・7・5のリズム感だけを気にしておけば十分です。
これは物事を端的に、かつ明確に表現する訓練になります。そのうちにサラリーマン川柳にでも応募できるような作品ができたら一石二鳥です。
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