私はあるプロジェクトが完了する毎に、「打ち上げ」と称して、それに関する日誌を拾い集めてきて、自分の行動を評価しています。概ね5段階評価をします。その結果、それぞれの行動やその行動をひとつなぎにした時に活動、最終的にはプロジェクト全体を5点満点で評価して、その点をより高くするためにはどうすればいいかについて、考えをまとめます。
それをすることによって、反省点とよりうまく仕事をするための課題出しをするためです。
■高度の振り返り方
ちょうどよいことに、『成果を生み出す組織の条件(B073NP7S3N)』という本に実績の振り返り方の5段階評価が乗っていましたので、ちょっとご紹介します。
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●過去の実績の振り返り方
状況 レベル5 全く新しい概念や状況を作り出した
誰も想定しなかったせいかを作り出せる
意図 レベル4 誰もが認める制約条件を克服した
成果の限界や基準を引き上げる
思考 レベル3 自らの判断で柔軟に応用・援用できた
問題や異常があっても成果を出せる
行動 レベル2 形式的なことを言われなくてもできた
平常時なら自力で成果を出せる
結果 レベル1 形式的なことを言われたときにできた
誰かの指示がなければ成果を出せない
坂本健(著) 『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修A 人を育て、人を活かす 実践シリーズ (株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)』
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プロジェクト全体として考えると、この評価指標はわかりやすいかと思います。ただ、普通のサラリーマンにとっては本書で言うところのレベル5というのは、ほぼつけるのが不可能なくらいのレベルです。管理職くらいになったら、2〜3年でひとつかふたつは5をつけるようにしたいですね。
なので、普通の社員レベルの人であれば、以下のような5段階評価が適当かと考えます。
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レベル5 自分ならではのアイディアと行動で、次に繋がる良い状況を作り出した
レベル4 他の人では解決不能な困難な問題をアイディアを出して解決した
レベル3 部内・社内で知っている人の「できる人」と思える人と同等の結果を出せた
レベル2 上司・リーダーから特に指示や支援を受けずにできた
レベル1 指示や支援を受けてなんとか達成した
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見てわかると思いますが、プロジェクトが完遂できなかったら評価はできません。やりきったことが大切です。
外的要因でプロジェクトがなくなった時(たとえば、会社の方針変更で取りやめになったとか)ような場合にも、評価対象にはなりません。
ただし、何らかの結果を出した場合には、会社からの評価がどうであろうと、プロジェクトは完遂したものとして評価します。
■プロジェクトの評価の目的
『成果を生み出す組織の条件(B073NP7S3N)』で示した引用にも書いてありますが、成果を出す人が最終的に目指さないといけないのは、この5段階目、「意図して状況を作る」ことなのです。
周りを見回して、会社の中で、あるいは自分が所属する組織の中で、トップの人(「トップクラス」ではありません。最もレベルが高い人)は、他の社員となにが違うかと言うと、成果を出していることではなく、状況を作り出しているのです。それもそれを意図して。
たとえば、ある製品を作るプロジェクトがあったとすると、普通(レベル3)の人がやると、製品の出荷が始まるところに持っていけます。それで終わりです。
ところがトップの人がやると、製品のシリーズ化が決定されるのです。あるいは、その製品を専門に担当する部署や組織が出来上がるのです。
これが、高いレベルの人と普通のレベルの人の差なのです。
新人君がいたと考えてみてください。彼に「○○に関するレポートを作って」とお願いしたらなにが起きますか?
まず、「レポートはワードで、◎◎のサイトにあるフォーマットを使って……」と細かく指示しないといけないでしょう。また書き始めてからも、「このデータはどこにありますか?」とか聞いてくることでしょう(聞いてくるならまだいい方で、「わからないから考えてました」って人も…)。つまり細々と指示や支援を受けないと仕事が進められないのです。
逆に、組織でトップに居る人に同じことを頼んだらどうなるでしょうか。
多分、○○に関する問題と解決策を考えて、そのレポートは、「組織横断の○○対応プロジェクトのメンバーをこのように決めまして、計画は以下のとおりです」っていう報告書が返ってくることでしょう。
これが状況を作り出すということです。
そして、会社という組織が望んでいるのは、そういう人材なのです。
つまり、本書『成果を生み出す組織の条件(B073NP7S3N)』のレベルのところにも書いてありますが、
結果 きちんと結果を出すこと(これは当然)。
行動 やればできる程度のことであれば自力で結果が出るように行動すること
思考 問題があっても、よくある程度の問題なら自力で解決できること
意図 過去に同じようなことをやった結果があったら、それより高く評価ができるような結果を出すこと
状況 長期的に見て組織のあり方に影響をするような結果を出すこと
なのです。ただ、管理職のようにいろいろな権限を持っていない人だと、状況を作り出すのはかなり難しいです。なので、一般社員レベルと管理職レベルでは異なる評価基準で考えるようにしています。
一方で、管理職の予備軍、つまり今度管理職への昇進試験に望むような人であれば、管理職同等の評価基準、つまり、状況を変える能力はほしいですね。少なくとも過去3年で1つや2つはそうした事例がないと、管理職としてやっていけるかという問題はクリアできないように思います。
もちろん、その組織の都合上、管理職が早くほしい、みたいな場合があって、実績や能力に関わらず管理職にしちゃうという場合も少なからずありますが…。
■参考図書 『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修A 人を育て、人を活かす 実践シリーズ (株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)』
![]() | 好評をいただいている、中堅社員から管理職向けの一般スキル研修をそのまま書籍化しました。限られた研修の時間の中では話しつくせない事例や活用法、質疑応答などをできるだけ網羅する為、受講者視点の一人称で記述しています。 また、受講した方や未受講の方、社内で水平展開したい方など、多様なニーズに対応するため、演習の内容や進め方を含めて、研修の流れをそのまま再現しています。 (目次) 序章 三橋哲哉の受講経緯 第一部 人を活かす 第一章 成果を生み出す組織の条件 (1)カード・タイムトライアル (2)成果を生み出す組織の条件 @コミュニケーションロス A意見の採用 B具体的な成果 第二章 成果を生み出す行動原理 (1)ここまでの振り返り (2)PDCAに関わる二つの誤解 (3)タワーづくり (4)PDCA理解度チェックテスト (5)PDCAの第一世代と第二世代 第二部 人を育てる 第一章 成果を生み出す人材を定義する (1)優秀な人材とは? (2)優秀な人材の見極め方 〜人の見方の変化〜 (3)客観的な人材の見極め方 第二章 『成果を生み出す力』を客観的に評価分析する方法 (1)『成果を生み出す力』の評価分析に必要な情報 (2)『成果を生み出す力』を言語化する尺度 @ レベル1 都度の指示に基づいて行動するレベル A レベル2 知識に基づいて、自ら動いて成果を出す B レベル3 自ら考え、判断し、行動して成果を出す C レベル4 制約条件を克服して、成果の限界を引き上げる D レベル5 新たな状況を作り出し、先行者利益を生む E 『成果を生み出す力』と『期待役割』の関係 F レベル2.5と3.5 実務で使える中間点 G 個々の実績レベルと人材の全体レベル 第三章 『成果を生み出す力』を伸ばす (1)人材育成のアプローチを使い分ける @ レベル1からレベル2へ 『Howのティーチング』 A レベル2からレベル3へ 『Howのコーチング』 B レベル3からレベル4へ 『意図を高める』 C レベル4からレベル5へ 「わかりません。」 終章 成果を生み出す組織の条件 (本文より) 「さて、今回のテーマはチームマネジメント。単独ではなく、組織、チームとして成果を生み出すための留意点をまとめています。そういう意味では、部下がいるとかいないとか、役職についているかどうかは関係ありません。 多かれ少なかれ、人と協力しあいながら仕事をしているのがふつうですが、その関係の中で、動かされる側から、動かす側に回ろうとする時に何が必要になるか、ということをテーマにした研修です。」 そう言って、日向講師はいったん言葉を切った。 「で、ずいぶんと大上段に構えたタイトルが付いてますが・・・」 苦笑しながら、スクリーンに映し出された、『成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修A 人を育て、人を活かす 実践シリーズ (株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)』というタイトルをポインターで示した。 「いつも申し上げているのですが、私の研修はそのほとんどが、私が編み出したものではありません。それに、これが唯一絶対の正解だなどと申し上げるつもりもありません。 ただ、私がこれまでに業務分析や組織診断といった仕事をさせていただいてきた中で、明らかに組織として高い成果を出しているチームに、共通して確認できたことを整理したらこうなったという、そういう仕事のしかたです。ですから、みなさん自身が、自分のチームと照らし合わせ、現状を評価するつもりで聴いていただくと、明日からの課題設定に繋がりやすくなると思います。」 |
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![]() 成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修A 人を育て、人を活かす 実践シリーズ (株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング) 著者 :坂本健 | 楽天では見つかりませんでした | DMMでは見つかりませんでした |
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