仕様 使用 試用
差異 際 再
これを見てなにか思いつきますか?
はい、そうですね。全部同じ「読み」です。
■同音で異なる漢字
これらは、PCで書こうとするとどうしても誤字になりやすいものです。
このブログでも後で見返してみると多数の誤字があるのですが、これは「読みを入力する」というPCでの文書作成の特性によるものです。ところがこの誤字脱字は、ビジネス文書としては割と恥ずかしい部類のものです。たとえばメールなどで、
お世話になります。
→ 押せわになります
などと書いてあったら、たぶん「読み直しているか?」と思われてしまいます。
これは、「読み」を入れて漢字に変換するという作業が生じる以上避けられないものではあるので、「メールを出す前に一度読み返せ」はよく初心者向けのビジネス書には書いてあります。もちろん、意味の通らない文章を書くとか、失礼な言葉づかいをするとかは論外ですが、読み返すことによって、この誤字を発見する可能性が上がるのです。
逆に、誤字(誤変換)が複数箇所にあるようなメールを貰ったら、1つ目は「くすっと笑う」程度ですみますが、定型句や重要なところにまで妙な漢字が使われている、となったら、「仕事上でもミスの多そうな人だな…」という印象を持つでしょう。
誤変換は信用問題なのです。
■誤変換をなくす方法
簡単な方法があります。誤変換をなくすためには、同音異字をなくせばいいのです。
たとえば、冒頭の例ですが、
仕様 使用 試用
これを「しよう」と読むからいけないのです。
仕様 ー すぺ
使用 ー しよん
試用 ー ためしよう
私はこれを辞書に登録しています。
「仕様=すぺ」は英語のSpeck(スペック)から連想しています。
「使用=しよん」は、「用」の文字を中国語では「よん」と読むため、この「用」の文字があるものの多くはこれで登録しています。
「試用」は、よくある、「市立=いちりつ」「私立=わたくしりつ」と同じ使い方です。
このように辞書に登録しておくと、IMEはユーザ辞書を優先するので、間違いなく希望する文字にたどり着くことができるのです。
■変換キーの操作回数
誤変換しなくするために、辞書を成長させるともうひとついいことがあります。入力作業が早くなるのです。
理由は簡単。普通、日本語の文章を入力するときには
1.ローマ字で文字を入力
↓
2.ひらがなが表示されるので正しいか目視確認
↓
3.変換キーを押す
↓
4.正しく変換されたか確認
↓
5.正しければ ENTER キーを押す
正しくなければ3.に戻る
という操作を繰り返します。
まず、4.正しく変換されたか確認 では、表示された文字を一度読まないといけません。
わたしはひらがなをたいぷするのがきらいです
と日本語として正しいかチェックしてから変換キーを押して
私はひらがなをタイプするのが嫌いです
をもう一度読んで、誤変換がないかを確認しないといけないのです。
この時に、自分がそう思って入力したのだからそのように変換されたに違いない、と読み飛ばしたりすると、冒頭の
押せわになります
になってしまうわけです。
そして、正しいのであれば作業はそこで終わりなのですが、正しくないときには、5.のように再度変換キーを押して、選択肢の中から正しいものを探し出すという作業が待ち受けています。
いずれも、よそ見をしていてできる作業ではありません。集中力がいるのですよ。考えないとできないのです。
そしてそれはゼロ秒ではできません。判断するためには時間とエネルギーが要るのです。
それがもし、「かならず必要な漢字が出てくる」とわかっていればどうでしょう。
1.ローマ字で文字を入力
↓
2.ひらがなが表示されるので正しいか目視確認
↓
3.変換キーを押す
↓
5.ENTER キーを押す
という作業になります。2.はタイプミスはあるのでどうしても必要ですが、これは習熟によってかなり軽減されます。
そして、正しくキータイプができさえすれば誤変換がないのであれば、最も労力の必要な、「判断する」「選択する」などの作業がなくなるのです。
他の人よりもものすごく素早く、正確に入力作業ができることはおわかりでしょう。
■同音異字語は出るたびに辞書登録をする
入力していて、変換キーを2度押したら、すぐに辞書ツールを立ち上げて、別の読みを辞書登録してしまいましょう。
その場の思いつきでいいので、別の読み方を辞書に教えておくのです。
このためにも、使っている日本語辞書は一発で立ち上げられるようにしておく必要があります。
MS-IME CTRL+F7
ATOK CTRL+F7
Google日本語入力 CTRL+F10
です。設定で変更できますので、押しやすいところに置いておくといいでしょう。
いちいち、マウス選択肢ていては、そもそもなにを入力しようとしていたのか忘れてしまうので、目標は5秒以内に読みの追加ができるように。
同じ単語を別の読みで登録してしまっても全く無問題。その場で思いつくものが登録されていればいいのです。
■変換キーは2度押さない
こうして辞書を育てていくと変換キーは2度押さないで入力作業ができるようになります。
以前なにかのテレビで見たのですが、プロのタイピストは、入力している画面を見ないそうです(いまもそういう職業のひとがいるかどうかは知りませんが)。そもそもキー操作を間違えないし、どの読みがどのように変換されるかを知っているからなのだそうです。彼ら(彼女ら)は、何度変換キーを押すとどのような漢字に変換されるのかを記憶しているので、漢字への変換に対しても、
画面を見る→それいいか判断する
という処理を必要としないのそうです。早いわけですね。
ただ、昨今の日本語変換ツールは無駄に賢いので、学習機能があって同じ操作をしても同じ結果が得られないので、逆に面倒かもしれません。ですので、簡単なのは、同じ読みの文字がない状態を作ることです。自分だけがわかる読みでよいので、自分だけの辞書を作ってしまえばいいわけです。
これは普段の練習も必要で、黙読するときには同音異字語は、辞書にある特殊な読みで読むようにすると、入力作業も楽になります。私は「仕様」という文字を見ると「しよう」ではなく「すぺ」と読み上げるようになりました。たまに仕様書の読みあわせの時に本当に「仕様」と読み上げてしまって失敗しますが。そのくらいに慣れば、考えなくても書きたい漢字→入力用の読みが自然に出てきます。
■予測変換を使おう
さらに予測変換も正しく機能するので、私の場合は変換キーはほとんど押さなくなりました。予測変換の確定はスペースキーで実行できるため、
適当な長さの文章をを入れる→スペースバーを押す
だけで、必要な文章が入れられます。
たとえば、「仕様を使用して試用する」はこんなキー操作になります。
supew → スペース → 仕様を
siyon → スペース → 使用し
te → ENTER → て
tamey → スペース → 試用する
で入力できます。楽になったでしょ。