やらなければならない仕事があるのに、どうにも前向きになれないーー。
残念なことに、日常生活においてそういうことは少なくありません。
しかし、そんなときは "それ" を「やりたい」に変えればいい。たったそれだけのことなのですがね。
もしかしたら、「それができれば苦労はしない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、自分なりに価値ある・意味あるものに変えていくと「やりたい」に気持ちが変わるというのです。
■やりたいと思えるようにするには
たとえば、上司から取引先に提出する企画書の作成を頼まれました。ところが、この取引先には企画書はつい最近、企画書を出したばかりです。「もう別の企画書は提出しているのに…」 と思ってしまうと作業が滞ってしまいます。
前向きになれない、ありがちな理由ですね。
これをやりたいと思えるようにするにはどうすればいいでしょうか。
前出の「自分なりに価値ある・意味あるものにする」ということで考えると、たとえばモチベーションの元が、他の人への貢献にある人なら、こんなふうに考えてみてはいかがでしょう
「若いメンバーでもある程度完成度の高い企画書できるようなひな型を作って、それでみんなに公開したらどうだろう?」
あるいは、作業を楽にすることにモチベーションがあるなら、こんなふうに考えてみてはいかがでしょう。
「パラメータを入れたらそれなりの企画書の本ができあがるようなツールを作ってみたら企画書が量産できないか?」
つまり、その仕事に新たな意味(個人的な目標)を付加することで、「やりたくない」から「やりたい」へシフトできる可能性があります。
■Will-Can-Want フレームワーク
よく言われる、仕事を通じて達成感を得るためのフレームワークがあります。
Will やりたいこと
Can できること
Want 求められること
詳しく知りたい方は、"Will-Can-Want" (または "Will-Can-Must")でググってみてください。
この3つが同時に満たされるような仕事であれば、おそらく前向きに取り組めるでしょう。ただ、どんなに頑張っても、3つが完全に重なることはありません。
たとえば、自分ができること(それをするスキルを持っていること)は個人的には「できて当然」という意識があるので、それに意欲を感じることは少なくなっていきます。逆に仕事を与える側(Want側)としても、その人ができて当然のことは、それが計画通り行ったとしても高く評価することはありません。その人に求められているのは、できること(Can)よりもっと広い範囲のことでしょう。
もし、Will と Can/Want が全く重なるところがなかったら、おそらくその人はずっと不満を抱えながら仕事をしないといけないでしょうね。ただし、一般的にはそんな事はありません。
なぜなら、Can はその人の行動であり、Wantはその行動の結果です。つまり物理的に認識できるものに限られていますが、Will は意思の問題、つまり心理的なものだからです。そもそも存在する次元が違うのです。だから、人の行動はどのようにでも捉えられるのです。捉え方次第で、その意味は変わってきます。
つまり、Will-Can-Want を同一平面上に認識しようとするから、重なっているとか、重なっていないとかの認識になるのであって。もともとは
Do (Can + New Can) 行動すること
↓
(次元の断層)
↓
Want 行動した結果
↓
(次元の断層)
↓
Will 行動することで得られる価値
という次元の層になっているものなのです。
別空間にあるものは、重ねて考えるのか、ずらして考えるのかなんて言うのは、そもそも議論できるのではないのです。
前出の例で言えば、上司は「企画書」という結果を求めています。これが Want です。
あなたは、上司から見ると満点ではないにしろ、取引先の課題を調査できるだけのスキルがあり、それを企画としてまとめるだけのスキルを持っているのです。
だから、それをやることの価値は自分で決めてしまえばいいのです。
あなたの価値観として、同僚や後輩からの感謝が大事なのであれば、その作業するプロセスをたどりながらテンプレートやマニュアルを作って、「実際にこれに従って作った結果がこの企画書だよ」と示せれば、企画書は単なる練習台でしかないでしょう。ただし、結果として企画書はできるのですから文句を言われる筋合いはないし、後輩からは「ありがとう」といってもらえるのではないでしょうか。もちろん、その企画書がショボいものだったらダメですから、しっかりと作り込まないといけません。その作り込みの過程で、「企画書にはどのような考え方が必要なのか」「なにに注意しないといけないのか」はたくさん出てくるでしょう。
「ありがとう」がもらえるのであれば、あなたにはわざわざ時間をとって作業する意味ができてくるのです。
もし、あなたが「上司から高く評価されたい」というところに価値観があるのであれば、「前の企画書よりもっといいものを作ろう」とか「上司がなぜ別の企画書を作れと言ったのかを汲み取って作り直そう」と考えるでしょう。そして、取引先に「良い部下をお持ちですね」と言われるような企画書を作ることに意識を向ければいいのです。
もし、あなたが上司を恨んでいて、足のひとつも引っ張ってやりたいと思っているのであれば、、、(以下自粛)
■どのように意味づけするかは自由
いたってシンプルな発想ですが、このように「どうせやるなら」と自分に投げかけ、その結果が生み出すものを考えていけば、仕事を「自分ごと化」でき、「やらされ感」から脱却できるということです。
Want の中に“価値や意味のあるもの”にを見出すことができれば「やりたい」マインドが生まれ、自走力が高まって楽しさも生まれるというわけです。
■Must に Will を見つける
「やりたくない」から「やりたい」へ変化させるものは、Want にたいして Will の意味付けをすることです。
とある大会社の社長になった方の自伝で、新人で最初に配属された先がシュレッダー室のシュレッダー担当だったという話を記憶しています(出典は失念)。その人がやったのは、シュレッダーが必要な紙を持ち込んできた人に、200%の笑顔で「シュレッダー室へようこそ!!」と声をかけることだったそうです。「人を元気にしたい」その人の価値観がそこにあったのだと書いてあった記憶があります。
しつこくやり続けて成功を手に入れている人たちは、このように Must に Will を見つける事ができるのでしょうね。
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