時間には、やることが決まっている時間と自分が自由に使える時間があります。たとえば、毎週定例で入っている進捗会議などは前者です。後者が自分のタスクを処理するために使える時間です。
一般的に、この自分が自由に使える時間よりも、やることが決まっている時間が優先される場合が多いです。なぜなら、その時間は他の人との都合の調整があるためです。
たとえば、スケジューラで1日の予定を見てみると、ある日のスケジュールがこんな予定になっているかもしれません。ここで、ひとつのマスは1時間とし、休憩時間などは省略しています。
┌───┬────┬────┬────┬───┬────┬───┬────┐
│ │ 会議 │ │ 会議 │ │ 会議 │ │ 会議 │
└───┴────┴────┴────┴───┴────┴───┴────┘
このようにばらばらになった自分が自由に使える時間を
┌───┬────┬────┬────┬────┬────┬────┬────┐
│ │ │ │ │ 会議 │ 会議 │ 会議 │ 会議 │
└───┴────┴────┴────┴────┴────┴────┴────┘
のようにまとめてしまうことを、「塊を作る」「塊化」などと呼びます。
方法については色々あり、これは後述しますが、原則は自分が自由に使える時間と自由にならない時間(上記の図では「会議」と書いています)を分けたときに、自由に使える時間がなるべく大きな時間になるように、自由にならない時間を移動させることです。
マネジメントの大家と言われるP.F.ドラッカーは著書『経営者の条件』(ダイヤモンド社 ISBN= 978-4478300749)で以下のように述べています。
★P73〓〓〓〓〓〓〓〓〓
成果を上げるには、自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。大きくまとまった時間が必要なこと、小さな時間は役に立たないことを認識しなければならない。
ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(著) 『経営者の条件』
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高い成果を上げるためには、こまかな時間をたくさん持つのではなく、連続した時間の塊をいくつ作れたかが問題なのです。自分のために使える時間こそが最も成果を挙げられる時間なのです。そしてそれは連続していないと成果が上がるまで実行できませんし、そのあとにある出来事に気をとられていては集中ができません。だから、大きな時間の塊を作るのです。
ただし、前述したようにあまりに長時間だと集中力続きません。たとえば、4時間でひとつのタスクをこなそうと思うと、よほど締め切りが迫っているような場合でのなければ、後半はだらけてしまいます。生産性が落ちるのです。したがって塊の単位は1〜2時間が基本ですが、タスクによって、塊の大きさは調整する必要があります。
■方法1:マイアポイントメントでブロックする
時間管理の上手な人なのかちょっと残念な人なのかを判別する簡単な方法があります。
スケジューラを見せてもらうことです。
残念な人のスケジューラは、隙間なく予定が入っているか、会議の時間しか入っていないか、いずれかです。一方で、時間管理の上手な人のスケジューラは、適度な隙間があって、打ち合わせの予定だけでなく、タスクが書き込まれています。タスクリストを時間として配置しているのです。
他の人との打ち合わせを「アポイントメント」ということがあります。これを自分が、そのタスクをする予定として、自分へのアポイントメントを取るのです。
時間管理がちょっと残念な人は、予定は入れていても、タスクとは関係なく、「仕事」とか「タスク」とか具体的なことが書いてありません。また隙間がまったくないので、そのタスクが予定より時間がかかると、その後の予定が崩れてしまいます。
もっと残念な人は、アポイントメントが他人とのものしか入っていません。このため、社内でスケジューラを共有していると、「何もしていない時間」と思われてそこに適当にスケジュールを入れられてしまいます。そうすると、自分だけでやるタスクはやる時間が限定されてしまったり、時間が分断されてしまったりして、集中を維持することができず、そのまま残業に突入ということになります。
スケジューラには適当な隙間を作りながら、重要なタスクはそれをする時間をしっかりアポイントメントとして確保するようにすると適切な時間を必要なだけ確保することができるでしょう。
おおよその目安ですが、3分の1ルールが良いです。つまり1日の3分の1は他人とのアポイントメント(会議など)、3分の1は重要なタスクをする時間、3分の1は割り込み業務やその他のタスクをする時間というふうに分けるのです。
大切なのは、予定に余裕をもたせることで、その余裕時間でその他のタスクの予定が変わったときのバッファにしたり、割り込み業務の対応に充てることです。割り込み業務はなくなりませんし、細々としたタスクもいちいち予定を立ててすすめるより、空き時間ができたらさっと初めてしまうと効率がいいです。
完璧な予定を立てても、そのとおり行くことはまずないですし、予定通りいかないことでモチベーションを落とす事になってしまいます。
ただし、重要な仕事だけは、しっかり時間を確保しなければいけません。飛び込んできた緊急性の高い仕事やちょっと目立つだけの仕事にかまけて、自分の最終的な評価を下げたり、成長を妨げたりする結果になっては、せっかくの目標が台無しです。
■方法2:それは自分や組織に対して必要なことか
たとえば、会議などの案内が来たときに、そこで自分はどのような発言をしているかを想像してみてください。
どのように発言し、それがどのように結果に影響するかを計画してみるのです。
もし、何を発言していいかわからない、会議の結論に自分が関与できないのであれば、その会議は出席する必要はありません。
後で議事録を見せてもらえば済む話です。
特に最近は、Web会議などが増えていますので、ボタンひとつで会議の様子は録画できます。録画データは1週間位は後で見返すこともできます。それを自分の都合のいいときに、見返せばいいだけです。さらに倍速で再生すれば、それを見ている時間も半分ですみます。
もし、「意見を聞くことがあるから」と言われたら、「Webで出席します」と言っておいて、参加だけしておいて、自分のやるべき仕事をしていればいいのです。たいていは、あなたに意見を求められることはありません。
■方法3:1日を4つに分け、時間をサイクリックに管理する
本書『仕事の生産性を上げる技術〜時間管理編(上)〜』では、1日の時間を4つに分割し、集中力を管理する方法について述べています。その4つのサイクルは1日を2時間づつに分け、前半(1時間〜1時間半)をタスクの時間、残りを雑用の時間としています。
つまり、会議は雑用の時間にやればいいのです。
そうすることによって集中力が切れてきた時間帯に会議を入れることで、全体の生産性を上げることができます。
そして、出席は必須だが、自分が会議の行方を左右することがないような会議は、重要なタスクをちょっと雑念を入れながらやるようにすることで、生産性を高くする方法について述べていますので、ご参照ください。
■参考図書 『仕事の生産性を上げる技術〜時間管理編(上)〜』
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