メールの返信の冒頭に、以下のように書いたことがある方は多いのではないでしょうか。
・返信が遅れて申し訳ありません。 ・返信をしたつもりでしたが、できておりませんでした。2つめはほとんどいいわけです。
■メールの返信を忘れる理由
返信を忘れてしまう主な原因は、返信を一旦保留することです。
「このメール返信が必要だ」と思った時に、「ちょっと調べてから(確認してから)返信しよう」「もしかしたら○○さん(自分より詳しいと思っている人)が返信するかもしれない」などと余計なことを思ってしまって、返信を保留し、そのメールに対してアクションを起こさない、別のフォルダに移動してしまうことです。
きつい言い方をすると、自己責任感が欠如している、他人の善意だよりになっているために、行動力が低いのです。
更にその原因となる部分もありますが、結果的に「返信するというタスク」を後回しにした上に、それをタスクとして管理していないために発生します。
■返信を忘れないための10秒返信術
とはいえ、返信が必要なメールが来るたびにタスクリストにいちいち、「○○さんからの○○(メールの表題)の返信」、などと書いていたら、それこそすぐに返信を書いたほうが早いですし、それができないから忘れているので、タスクリストに書き出すというのは根本的な解決にはなりません。
とはいえ、頭の中に入れておくという対策では、同じ結果が待っているだけです。
そこで、「10秒返信術」という方法がおすすめです。この方法なら、あらゆるメールに10秒で返信の処理ができるようになります。
以下のようにやってみてください。
・返信が必要だと思ったメールを発見する ・CTRL+SHFT+R (アウトルックの「全員に返信」のショートカット) ・返信の要旨を20文字程度で書く ・ESC、"Y" を押す。(アウトルックで「下書きに入れてウインドウを閉じる」のショートカット操作)たったこれだけです。20文字程度というのは、メール冒頭の挨拶などは含みません。メールに書くべきこと、やっておくべきことを書いておくだけです。
これで、下書きフォルダに返信すべきメールが残ります。あとは1日の終わりや、ちょっと手が空いた時でも、「下書きフォルダを空にする」というタスクを実行すればOKです。
■20文字の要旨
「要旨を20文字程度で書く」というのがポイントです。これには3つの効果があります。
ひとつは、20文字程度であれば書くのに10秒もあればできることです。
ひとつひとつの要返信メールに丁寧に応答文書を書くくらいなら、それをそのまま送信してしまえば良く、わざわざ後回しにする理由はありません。それができないから後回しにするのです。なので、返信にどのような趣旨のことを書くかということを簡潔に書いておく事が必要なのです。
第2の効果は、簡潔に要点を表現する力がつくことです。
これは「エレベータートーク」などの技術にもあるように、物事を簡潔に表現するというのは、どのようなビジネスであっても重要なスキルです。これのトレーニングにもってこいなのです。
第3の効果は、時間の節約です。
たとえば、忘れないように下書きに入れておく、あるいは返信が必要というフラグを立てておくだけだと、いざ返信をしようとしたときにもう一度メールを読み返して、「どのような返信をしようとしたのか」を思い出す必要があります。ものによっては長文を読み返すことが必要になります。これは、単なる時間の無駄です。一度やったことをもう一度やり直すのは、ムダなのです。一度で済ますためには、そのメールに対するアクションを具体的に書き出しておき、元メールの本文は単なる履歴としてだけとっておくのが、作業時間を短縮するコツです。
下書きのメールを開けば、何をすればいいのか、何を書けばいいのかは、すでにそこに書いてあるので、それを受信者が理解できる文章に直すという作業だけがタスクとして残ります。
これで、もう一度メールを読み直すとまた時間も必要なくなり、文書を相手にわかるように書き直して、挨拶などを挿入して送信ボタンを押すだけになります。
ただし、なにか調べたり、誰かに確認したりしなければいけないことは、億劫がらずにタスクリストに入れて置きましょう。下書きメールを開いても、それがアクションを起こしてからでなければ返信できないようであれば、まずそのアクションを取ってからでなければ、メールを開いて、また閉じるだけになってしまいますので。
■新規メールも10秒作成
「××さんにメールで○○をお願いしなくちゃ。」
こういうのも、「今は忙しいから後で」というのも、案外忘れがちですが、この10秒返信術なら確実にできるようになります。
返信の代わりに新規メールを作成して、要旨(上記で言えば「○○」の部分)だけ書いて、下書きに保存しておきます。これで返信漏れは基本的になくなります。
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ある漁師が、新しい網を手に入れた。初めて使った日には100匹の魚が取れた。漁師はもっとたくさん取ろうと何度も漁に出るようになった。しかし、量に出れば出るほど取れる魚の数は少なくなり、漁師が漁に出る時間はますます長くなった。漁師仲間が彼に聞いた「なぜ網を修理しないのか。穴だらけじゃないか」と。 漁師は答えた。「そんなことをしている暇はないほど忙しい。もっと魚を取らないといけない」。
本書は、あなたの目標達成を手助けするために、時間管理の手法について書かれた本です。時間管理についてあなたが抱えている問題のいくつかを解決するための手助けをしたいと考えています。そのために、「時間」という認識しづらいものをどのように捉え、どのように生産性を上げるために利用するのかについての原理原則と実際の応用例を提示します。
従来のビジネス書では、非常に抽象的な時間管理の手法の紹介になるか、非常に具体的で環境依存になって応用のしづらい紹介になるか、出版物にするという制約の中で、ピンポイントに絞られていた時間管理の手法について、その全体像を示すとともに、それを応用したTipsを600ページ超にわたって解説しました。
下巻では、上巻で述べた論理的な手法を実際の場面で使用したノウハウと、上巻では論旨の流れから説明しきれなかった原理原則の捕逸の80個をランダムにご紹介しています。
これらのノウハウは、インターネットのハウツーサイトや書籍を丁寧に巡回すれば、同じようなものは見つかると思います。ただ、それがどのような原理に基づいて考えられたのかについては、上巻の論理部分を読んだあとだと、より理解が進み、自分の環境に適用しやすくなっていると考えます。つまり、一般原理を知っていることで、表面的には異なる環境のハウツーを自分の環境への適用や応用ができるようになるのです。下巻ではその適用事例を見ることで、自分の環境であれば、どのように適用できるだろうかと考えるヒントになると考えています。
あなたは、人生という大海で漁をしています。魚をたくさん得るためには、一度漁に出るのをやめて、網を修繕する時間を作ってください。網を修繕するだけでなく、もっと高性能な網を使った漁労方法を知れば、あなたはより短時間でより多くの魚をとることができるようになります。本書は網を修理し、多くの魚を得る方法について詳述します。
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●本書を引用した記事
時間を無駄にする最も効果的な方法
時間管理は3つのことをやればいい
●このテーマの関連図書
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