あなたの時間で自分が何をするか自由に決められる時間はどのくらいの割合でしょうか。ほとんどの人はほぼゼロパーセントでしょう。たいして長くない人生で、ちょっともったいないですね。サラリーマンであれば、平日の朝起きる時間は、出勤時間で決められています。その後通勤時間があって、仕事時間。帰ってきてからは食事をして寝るだけ。
仕事の時間でも、「これからはこれをやろう」と決めることができれば、ある程度は自分の意志で決められますね。当然仕事以外はだめですけど。
私はこうした時間を「制御権のない時間」と呼んでいます。完全に自分の制御犬の下にあるものは、前述のようにほとんどなく、自分でやることが決められる比率と決められない比率の第書があるだけなので、イチゼロではありませんが、ほぼ100%自分に制御権がない時間もサラリーマンにはかなりあります。
たとえば、上司との面談の時間で考えてみればわかるでしょう。最近、「ワン・オン・ワン」という活動をする会社が増えています。これは部下と上司が1対1で、仕事の困りごと、部下の将来の希望などについて話をする時間として設定されているもので、1対1だからワン・オン・ワン。
こうした時間に、さっきまでやっていた仕事をすることはできません。上司の話に耳を傾け、今の困りごとを上司と話し合わないといけません。それ自体の生産性は低くないと考えますが、自分にはこの時間を勝手にやめることも、別のことを考えることもできません。そのいみで、自分には制御権はないのです。
一方、退社後〜就寝までの時間であれば、本を読もうが、飲みに行こうが自由に使えます。つまり、その制御権は100%自分にあります。ただし、食事・風呂・就寝など、生活を維持するために必要な時間もありますが、これは開始時間や時間の長さがある程度自分で決められます。もちろん家族持ちは結構これも制約があったりしますが。
もちろん、ここまで極端ではないにしても、出勤時間は、「仕事をする」という制約の中であれば割と自由度はありますので、ほとんどの時間の制御権は0%〜100%のどこか中途半端な位置にあるわけですが、自分に制御権がない割合は前述したような工夫の余地がなくなってくるということでもあります。
このような時間に対して、時間の自由度、すなわち制御権をある程度自分に取り戻す方法をご紹介します。
人がやれることをを大別してみると、
・考える
・見る・読む・聞く
・書く
・体を動かす
に分けられます。その時間に、これらを並行してやれるか、やれるとしたら具体的にどのようなものかを考えてみることが重要です。
■考える
特に「考える」というものは、今やっていること自体についてと、今やっていることに関係すること、関係ないことの3つについて選択肢があります。
たとえば、今やっていることについて考えるとすると、前述したようにその階層レベルにおける俯瞰をすることによって、よりよい考えが浮かぶことが少なくありません。これはより高いレベルでの学びに繋がります。
もう少し具体的に言うと、ワン・オン・ワンの最中に課長が「今期は150億円の売上があって…」と言っている瞬間に、1段上の抽象度で「この話は会社の業績の話から今後の活動計画について話をしようとしているのだな」とか「この先の話としては、こういうはなしになるかな」とかの流れを読むようにすることです。
そうして、思考を整理や次に起こる事態を予測するトレーニングの一環にしてしまうのです。
■見る・読む・聞く
これは前述したマルチタスク(「同時並行で作業する」)のところでも述べましたが、制約されている時間において、それが他のことを考えてもいいような時間であるときにも有効な方法で、本を読む、オーディオブックを聞くなどができます。
また、こうした全く関係ないことができないような場合には、相手の表情・仕草などから相手の心理状態を読み解くということも可能です。実際に答え合わせは難しいですが、たとえば「時計を見る仕草」というのは、相手は「次の作業が気になっている」というサインであるとか、視線が右上に動くのはなにか次の発言を考えている、などのことが読み取れるようになります。相手の心理状態を読むことができるようになると、交渉事などに非常に優位に働きます。心理学の本を読めばこうしたことは多く書いてあります。それを実際に試して見る場にするというのは、自分自身のトレーニングとして活用できます。
■書く
「書く」という行為は、相手と1対1で話しているときには、相手からは自分の話をちゃんと聞いてくれているという好印象を与えることもできるので良い行動です。
たとえば、相手の言っていることをロジックツリーにして整理してみると、相手の行っていることの論理矛盾に気がつけるようになり、思考していることを図解するというトレーニングにもなります。
■体を動かす
これは制約されている時間において、ある程度自分の体は自由に動かせる方法として有効です。たとえば、知識労働者は、PCに向かって仕事をしていることが多いですが、この作業を立ってすることによって、足腰を鍛えたり、集中力を維持したりするために使えるということです。特に長時間椅子に座っていると、エコノミー症候群のように下半身の血流の不足などが起きやすいので、健康維持には立ってPC操作をするというのは、社会的にもある程度認知されているようですので、立って仕事ができるようなデスクを用意することも可能になってきています。
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●本書を引用した記事
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