2022年11月15日

必要になるまで作ってはいけない



「こういう機能があるとよいかもしれない」「こういうものが必要になるかもしれない」そう思って用意したものが、あとになってどのくらい使っているかを確かめたことはありますか?

たいていは使っていません。

■必要になってからつくる


企画書や要望書を書くときに、あれもこれもと盛り込んでしまいがちです。たとえば、プレゼン資料を作成するときに
  「△△についてはどのようになっているのか」
  「それをやると△△という問題がある」
などと突っ込まれるような場面があるかもしれないと考えると、それに対してもスライドを用意しておこうと思ってしまいます。完璧な説明をしようとすると、プレゼン資料は何十ページにもなります。そして、実際にプレゼンをすると、「結局何が言いたいんだ?」と作った説明資料は全否定される、などということになります。


これを戒めるため、YAGNIという言葉があります。
これは“You aren’t gonna need it”の頭字語で、おもいっきり意訳すれば、「今 必要だと思う機能が必要になる日は来ない」ということ。

作る前にあれこれ考えて、あれもこれもとアイディアや対策をふくらませても、実際にそれが日の目を見る確率は思いっきり低いのです。

最近のソフトウエア開発では「アジャイル開発」というのが流行です。
これはユーザの要望のキモとなる部分だけを作ってリリースし、その後に必要になった機能を追加したり、ユーザの要望を聞きながら性能を向上させていって、素早くソフトウエア開発を実用に乗せるための手法です。

なにかの業務改革のアイディアでもPoC(Proof of Concept:概念実証)という手法が用いられることが多くなりました。
新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて小さく検証することです。これによって事前に検討したアイデアやコンセプトのが実現可能であることを検証して、期待した効果が得られることを確認しながら、徐々にプロジェクト拡大していくという手法です。

たとえば新規性の高いビジネスを立ち上げる、あるいは革新的な技術を利用するといったとき、本当にそれが実現できるのか、それによって効果が得られるのかを机上の議論のみで判断するのは困難です。そこで実際に小規模で試作や実装を行い、できあがったものを用いて検証を行うことにより、実現可能性の判断の精度を高めることが可能になります。
 
特にソフトウェアの場合は、ヒットする確率のほうが低いわけだ。使われないソフトウェアはメンテナンスされないし、そんなソフトウェアに未来はない。未来があるかどうかわからないものに時間を使うのは無駄でしかありません。


■最初から大きく狙いすぎた企画は実現すらしない


大切なのは、「今必要なのはどれ?」ということ。
そのアイディアや企画・ソフトウエアはなぜ必要とされるのか、なにがそれのコア部分なのかを判断して、コアを作りこむのです。

ところが現実には、「1000万円投資すれば実現できます」という提案が少なくありません。それがうまくいくかどうかわからないものに大金を投じるのは投資ではなくてギャンブルです。アイディアや企画というものは、当たる確率というのは常に低いのですよ。

それを最初からユーザが100万人になったときの事業を想定して作るから、あれもこれもと盛り込みたくなって、工数の見積もりは爆発し、予算がいくらあっても足りないということになってしまう。

でも、たいがいのものはたったひとつの要望を満たすものとしてスタートしているのですよ。

例えば、Googleは最初は検索のための入力枠しかありませんでした。Facebookだって、最初は単に自分のプロフィールを登録して、ほかの人のプロフィールを参照する機能しかなかった。

最初から「何でもできる」というアイディアや企画は何もできないのです。最初には「いちばん重要なものしかない」から始めるのが成功させる秘訣です。

どう使うのかがわからない機能が追加された巨大戦艦を作りましょう、ではなくて、とりあえず筏(いかだ)で人が乗っても沈まずに川が下れるようになってから、湖でも移動できるようにオールをつけたり、左右に曲がれるように舵をつけたりすればいいのです。

だからYAGNIをどこまで徹底できるか、というのはアイディアや企画にはとても重要なのです。


◆このテーマのおすすめ図書


ニューコンセプト大全仕事のアイデアが生まれる50の思考法

世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのかグーグルの個人・チームで成果を上げる方法

小さなパン屋の革命――〈リエゾン〉河上祐隆の仕事

できる仕事がはかどるGoogleAppsScript自動処理全部入り。

図解でわかる部門の仕事経営企画部

Python[完全]入門

■同じテーマの記事

「緊急ではないが重要なこと」とマラソンの給水所

仕事の生産性を高める重要な法則として、重要度・緊急度マトリクスがあります。ほとんどの人はみたことがあるとおもいますが、このマトリクスはそれぞれ重要度・緊急度ごとに「高」「低」に分割して、4現象を作ります。1.重要度:高緊急度:高2.重要度:低緊急度:高3.重要度:高緊急度:低4.重要度:低緊急度:低この4つのパターンが出来上がるので、今持っているタスクをこれに割り当てて、優先順位を決めるというものです。マラソンの給水所突然話は変わるのです..

ひとつの作業が終わったら休憩ではなく、するべきことがある

なにか集中する作業をしていて、一区切り付きました。大抵の人は、「あ〜やれやれ。ちょっと一服」と隣の人と雑談をしたり、コーヒーを飲んだり。まあ、それが1時間作業をして5分程度、というのであればいいですが、気がついてみたら雑談に花が咲いてしまって1時間ほど休憩時間だった、などということはないでしょうか。私には "あるある" なのです。特に最近は、在宅ワークなどが増えてきたので、休憩時間の間に仕事をしている、、、とか?脳..

「やりたい」が見つかる秘訣

やらなければならない仕事があるのに、どうにも前向きになれないーー。残念なことに、日常生活においてそういうことは少なくありません。しかし、そんなときは "それ" を「やりたい」に変えればいい。たったそれだけのことなのですがね。もしかしたら、「それができれば苦労はしない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、自分なりに価値ある・意味あるものに変えていくと「やりたい」に気持ちが変わるというのです。やりたいと思えるようにするにはたとえば、上司から取引..

マルチタスク

時間術で、「マルチタスクにやるといい」という説と、「シングルタスクこそが最も効率的」という説の2つがあります。これは何を意味しているんでしょうか?おそらくですが、時間の概念が違うような気がします。マルチタスクは区切りを意識するもう一つは、多くの人は持っているプロジェクトが1つだけということはなくて、明日までに、×××プロジェクトの提案書とプロジェクトの中間報告を仕上げる、などという場合。じゃぁ、ということで前の例同様、10分おきにこの2つのプロジェ..

矛盾す複数の問題を一気に解決する「インクルージョン思考」

表題の「インクルージョン思考」というのは、問題がいくつもあって、それらの問題を一気に解決してしまうような、「おぉ、その手があったか!」というアイディアを出すための考え方。ドラマやアニメなどを見ていると、最初の方で色々な問題が次々と発生して、主人公がにっちもさっちもいかない状態に追い込まれることがあります。それを後半に、ある一つのことをやることで一気に解決して大団円、というストーリがよくあります。あのアイディアはどうやって思いつい..

面接質問:なぜ課長になりたいですか?

課長への昇進面接で非常に答えにくい質問の1つに「なぜ課長になりたいですか?」というものがあります。質問者(面接官)としては、その人が、課長という管理職のポジションに付くにあたり、責任と権限をどのくらい覚悟を持って考えているかを聞きたいのですが、意外とハズレな答えをする人が少なくありません。同じように、専門職(一般職)から総合職への職種転換などでも聞きます。「なぜ職種転換がしたいですか?」「なぜ今のポジションではダメなのですか?」課長の責任と権限管理..



posted by 管理人 at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 発想法・アイディア術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック