日本には「物は言いよう」という言葉があります。
ちょっとしたトリックなのですが、言い方次第であなたの希望通りに話を進めることができるようになります。
■「これは自分にどんな関係があるだろう?」
何かを見たり、聞いたり、体験したりしたとき、まず最初に考えるのは、「これは自分にどのような関係があるのだろうか?」ということです。多くの場合、「無意識に」かもしれませんが、それが興味のあることなのか否か、自分に何らかの影響があることなのかを考えます。
そして、人は「なるべくなら、面倒事には巻き込まれたくない」とも考えます。なので、「なるべく自分には関係ない」と判断したがっています。
だから、相手になにかしてほしいときに、「あなたに関係することですよ」という答え与えてしまうと、最初から自分に関係すること(=自分ごと)として物事を捉えるようになります。簡単に言えば、前向きに受け止めるということです。
こうした言い方をするだけで、何かを提案したときに受け入れられるかどうかに大きな違いが出る。
■メッセージの主語は「あなた」
具体的に言えば、「あなた」という言葉をどこに置くことです。とくに「あなた」という言葉は、文頭に持ってくるのが良いです。「あなた」と最初に聞くと、この後話される内容は自分に関係することだと認識されて注意深く聞くようになるからです。
たとえば、相手にお願いしたいことがあるときにうってつけです。
よく道端で緊急事態で助けがほしいとき、「誰か助けてください」ではなく、「そこの青い服のあなた! 199番に電話してください」といったほうが動いてもらえる、という話を聞いたことがあると思います。これは、このテクニックの応用です。
仕事の場面でも、「助けが必要なんだ」と言う代わりに、「助けてもらえないかな?」と言うだけでも効果があります。言葉の上ではわずかな違いなのですが、受け手の心理には大きな違いがあります。
前者の場合、主語がありません。「助けを必要としている」と事実を述べているだけです。行動するか否かは、同僚の側に丸投げをしています。そうすると同僚は、まず自分に向けられた言葉であるかどうかを判断しなければなりません。
後者の場合、行動するべきなのは誰なのかははっきりわかります。この場合は、できる範囲で助けてくれる可能性が高いです。同僚は自分のことを、「同僚に対して親切で役に立つ人だ」と思っているでしょうから。
相手を褒めるときも「よくやった」「ありがとう」ではなく、「あなたは本当によくやってくれた」と言えば、聞き手は自分の努力がきちんと認められたと感じるでしょう。何かの報告の際も、単に「結果は期待通りだった」と事実を言うのではなく、「君のおかげで結果は期待通りだった]と言って相手をこちらの側に引き入れることもできます。
■応用編:自分の要望は前提で話を始める
これは、非常に応用範囲が広いテクニックです。
相手(聞き手)を主語にした文章にすることで、「これはあなたに関係あることだ」という強力なメッセージになります。また相手を主語にするということは相手の行動を規定する文章になるので、「私」が何をするか/しないかではなく、「相手(聞き手)が何をするか」に焦点をずらすことができるようになります。
もし、あなたが「次の会議には会議に出たくない」気分だとしたときに、「僕は会議に出なきゃダメかな?」と言ったら、自分のことしか考えていない人のように聞こえてしまいます。たとえ自分が出てもたいして影響がなくて、時間の無駄であるとわかっていても、相手から「自分の都合だけで行動するヤツ」とは思われたくないのであれば、なかなか言い出しにくいかもしれません。
さらに相手から、「自分の都合だけでなく、たまには他の人のことも考えてみてもらえませんか」といった返事をされた日には、もはや居心地が悪いことこの上ないでしょう。
反対に、あなたが相手の視点に立って「あなたは、私抜きでも会議を進められますか?」と聞けばどうでしょうか。
質間の焦点は、あなたが会議に出るべきかどうかではなく、その相手が「自力で会議進められるかどうか」になってしまっています。そしてたいていの場合、答えはイエス。「はい。大丈夫です。」になるでしょう。
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●本書を引用した記事
話を遮って主導権を握るために
「あなた」を文頭に持ってくると強力なメッセージになる
相手に自分自身を説得してもらう
相手を驚かせる褒め言葉を使う
初対面で必ず好意を持たれる振る舞い方
不快な状況を受け入れない
〜だったのに、〜すべきだった、〜すればよかった
質問や反対意見は合意のサイン
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●このテーマの関連図書
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