2022年12月12日

仕組み化をするときの5つの原則


仕事の品質を高めて、生産性を上げるためには、「仕組み化」が必須です。
しかし、私の感じるところ、仕事を感性でやっている人が多いとも感じます。芸術家ならそれも必要でしょうが、サラリーマンに感性はないよりあったほうがいいものであって、必須のものではありません。それを感性に頼るから、デキが良かったり悪かったりと、安定しないと考えています。


■モチベーションではなく「仕組み」で仕事をする


特に面倒なのが「やる気」や「モチベーション」というやつ。
これを仕事に持ち込むのは構いませんが、これがないと成果が出ないのは、本当に運だよりです。だって、モチベーションって都合に応じて出したり引っ込めたりできないでしょう?
やる気がないと目的地につかないどころか最悪、交通事故を起こすようなタクシーに誰がお金を払いたいと思うか、甚だ疑問。

仕事はモチベーションでやるものではなく、どんなモチベーションでも、一定の成果が出るようにしたいものです。
そこで、必要なのは、仕事を仕組み化して、淡々と処理すればいつも同じ結果が出せるようにしておき、モチベーションが高いときには、120%の結果が出せるようにしておくことです。


■仕事の仕組み化の5つの原則


この「仕組み化」の思考法の中心となる原則を『仕事の生産性を上げる技術〜仕組み化編〜』から抜粋してご紹介します。

1.  才能に頼らない
2.  意志に頼らない
3.  記憶力に頼らない
4.  車輪の再発明をしてはいけない
5.  2度やったことは3度目がある

以下では、これらについて詳しく述べます。

■原則1:才能に頼らない


最初の原則は、「才能に頼らない」ということです。
ここでいう才能とは、その人の「スキル」「経験」「判断基準」「注意力」などを指します。主に、安定した成果を出したいときや、ミスを減らしたいときのルールです。

たとえば、部署で昔から使っている在庫管理用のEXCELの入力作業を、これから後輩に引き継ぐとしましょう。かなり複雑につくり込まれているので、更新すべき項目がたくさんあります。

よくあるケースでは、こうした引き継ぎ作業は先輩が一回やって見せて、最後はお決まりの「じゃ、あとは頼むよ!」というセリフで終わるパターン。
しかし、このような仕事の渡しかたでは、在庫管理の精度を後輩の「才能」にゆだねることになってしまいます。

後輩が几帳面であれば、次に自分でやるときに、入力データを検算して、入力の仕方に問題がないかをチェックするでしょう。もしかしたら「一度確認をお願いします」と頼みに来るかもしれません。でも、少なからぬ人は悪気がなくても必要なセルのデータの入力を忘れる、単位を間違える、知らぬ間に関数やバックグラウンドで連携している関連ファイルを消してしまう、などして後で問題が発覚することもあります。

こうしたミスは、引き継ぎを受けた人の問題ではなく、引き継ぎをした側の問題で、未経験者に気を配れ(才能を発揮しろ)と暗黙に言っているところに問題があります。

特に、この例のように、多数の作業があってそれぞれに注意深く集中して作業をしないと失敗することが予想されるのであれば、なおさらです。

では、ここで考えられる対策(仕組み)には、どのようなものがあるでしょうか。

たとえば、更新すべき項目がかけていたらエラーを出すような仕組みを用意しておくだけでも状況は変わると考えられます。また、必要な情報が消されないように保護をかけておく必要もあるでしょう。データが期待どおりに入っているか検算する仕組みも必要でしょう。

人の才能に頼った時点で品質にはばらつきが出るのです。「仕組み化」をするときは、このことをまず念頭に置き、誰がどのようなやり方をしても同じ結果になるようにすることが必要なのです。

■原則2:モチベーションに頼らない


「モチベーションを持って仕事をする」というと、とても良いイメージがあると思います。特に日本人は「モチベーション」とか「頑張る」「気をつける」「努力する」ということが大好きなようです(私も嫌いではありませんし、そうありたいとは考えます)。

しかし、それを無限に求め続けられるのは苦痛でしかありません。なにも苦痛に耐え続ける精神修行みたいなことを何十年もしたいとは、少なくとも私は思いません。

そもそも「モチベーション」「頑張り」というのは意志の問題です。意志である限り、必ずムラが生じます。そもそも、モチベーションのような意思は、必要なときに必要な量だけだしたり引っ込めたりすることはできません。

たとえば、その日の気分次第で製品の品質が変わる人や会社に、仕事を依頼したい会社があるとは思えません。がんばったときだけ120点を出せても、がんばらなかったときは50点になってしまうような仕事の仕方では、顧客からは敬遠されてしまいます。

それよりもいつでも安定して80点の成果を出せる人のほうがが、最終的な成果としては安心できるでしょう。

1日の仕事の中でも、できればやりたくないけど、やらざるを得ないものもあるでしょう。

このため、「仕組み化」を考えるときは、できるだけ意志によって結果が左右されないように仕組みを作り込まないといけないのです。

もちろん、モチベーションを上げる「仕組み」も重要です。

しかし、モチベーションを上げる以前の問題として、モチベーションが低い状態であっても結果が出せる「仕組み」を考えることにモチベーションを使うことが大切なのです。

■原則3:記憶力に頼らない


記憶から抜け落ちたことによるミスは、誰もが経験したことがあるでしょう。
 ・忙しさのあまり、納品したのに請求書発行を忘れた。
 ・年末調整の提出期限に保険料の領収書を持ってくるのを忘れていた
 ・提案用の資料を用意したけれど、会社案内を入れ忘れた。
このような経験がしばしばあるのは、筆者だけではないと思います。でも、たいていの場合は致命傷にはならないので、大した反省をすることなく流してしまいがちです。

なかには、「歳をとったからかな。アハハ」と笑いごとで済ませる人もいますが、これは歳のせいでも性格のせいでもありません。自分の記憶力に頼ったことが原因です。

「仕組み化」をするときに、「覚えておく」「気をつける」というプロセスを入れてはいけません。それが入った途端、どんなに優れた「仕組み」であっても安定した成果が望めなくなります。その上、記憶力に頼らない仕組みをつくると、覚える時間も思い出す時間や労力も不要になるので、時間の効率アップも期待できます。気楽に作業できるようになります。

したがって、「記憶」が必要となったところは、作業に伴って「記録」が自動的にできるような方法を考え、「記録不要な」仕組みを作ることを目指すのです。

■原則4:車輪の再発明をしてはいけない


「車輪の再発明」とは、「すでに確立されている技術や解決法を再び、イチから考えて作ること」を指すことばです。つまり、あなたがやろうとしていることはすでに他の誰かが経験している事がほとんどです。

仕組み化の目的は、仕組みを使って楽をして目的を達成することです。そして、あなたがやろうとしていることは、かならず過去にもやった人がいます。仕組み化をすること自体、すでに誰かがやっているので、それを再利用すればいいのであって、再発明する必要はありません。
私は「楽をする」ことが大好きです。何事も楽をしてできるのであればそれに越したことはないと考えています。
「怠け者」は好きではありません。努力は尊いものだと考えています。
しかし、山頂に行くという目的があって、すぐそばにロープウエイがあるのに、わざわざ苦心惨憺して自分の足で山を登ったとしても、それは称賛に値するものではないどころか、余計な工数や時間をかけ、リスクを負っただけの単なる無駄だと考えます。極論すれば、時間やエネルギーという資源を浪費した害悪です。

つまり、仕組み化はロープウエイを利用することです。山に登るためのロープウエイは自分で作らないといけないかもしれません。ただ一般的に考えて、いまの仕事や達成しようとしていることは、おそらく人類数万年の歴史の中できっと同じようなことをしようとした人がいます。その人が考えた仕組みをツールとして使えば、ほんのわずかな使用料を払うだけで山頂に行けます。おそらく、あなたはロープウエイを発明して、鉄を精錬する必要はないでしょう。

その仕組みを知るために多くのハウツー記事や他の実用書は存在しています。これらを知ることで、あなたは頑張って山登りする人を横目で見ながら、ロープウエイであっという間に山頂に到着できるようになります。


■原則5:2度やったことは3度目がある


ここで、私たちが普段抱えている仕事を振り返ってみましょう。過去に先例・類例のない仕事や、極限レベルが求められる仕事は、全体の仕事量のどれくらいを占めているでしょうか?
普通の会社であれば、実はほとんどありません。

多くの知識労働者は知識や思考能力を試されるような仕事ではなく、議事録作成や業務連絡、経費精算、棚卸し、後輩の指導、海外郵送の手配など、何度も経験していてそれほど頭を使わなくてもこなせる「作業系の仕事」にほとんどの時間を取られています。

特に、毎日繰り返すルーチンワークは、1つひとつの作業時間が小さくても、それを複数抱えるわけですから相当な時間を消費します。
よってそういった事務系、作業系の仕事に関しては、真っ先に「仕組み化」で合理化・効率化を図ることができるのです。そこにこそメスを入れていかないと生産性の向上は実現が難しいのです。

そのためにこの原則があります。初めてやるときは「仕組み」などどこにもありません。しかし同じような仕事を2回目にするときには、かならず3回目が来ます。そのときに、初めてやるときと同じように手探りでやっていては生産性が上がりません。

「以前やったことがある」「以前やったのと同じようなことだ」と感じたら、それは「仕組み化をせよ」というお告げです。



■参考図書 『仕事の生産性を上げる技術〜仕組み化編〜




「努力」「一生懸命」「忍耐」「頑張る」
「石の上にも三年」「高いモチベーション」

これらの言葉で表現される特徴は、通常は「長所」や「美徳」として人を褒めるときによく使われる言葉です。
他人への褒め言葉として使うぶんには全くかまわないのですが、これを自分に求めてはいけません。こうした「美徳」を仕事に持ち込まずに、高い成果を出す方法があります。

「努力しない」「一生懸命にやらない」「頑張らない」でより良い成果を出すためにの方法とは、以下の原則に従って、仕組み化をすることです。
  1. 才能に頼らない
  2. 意志に頼らない
  3. 記憶力に頼らない
  4. 車輪の再発明をしてはいけない
  5. 2度やったことは3度目がある
たったこれだけのことを意識するだけで、あなたの生産性は格段に高くなります。




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