本書『クォータータスク管理法』は、1日を4つに分け、重要だと思うタスクを毎日1〜4個、この時間でやるという非常にシンプルだけど強力なタスク管理手法です。
GTDは「信頼できるタスクリストにすべてのタスクを書き出す」ということが必須になっています。
しかし、やってみるとわかりますが、タスクはプロジェクトの進捗状況によっていつも変動しています。つまり昨日まで完璧だったタスクリストは、今日には信頼できなくなっているということです。
また、タスクとして「やらなければならないこと」と「やろうと思ったこと」というのは同じリストに入れてしまうと、「やろうと思ったこと」は後回しになります。永遠に残り続けるタスクが出来上がります。タスクリストを一生懸命作っても、見ると嫌な気持ちになるのでは、GTDの言うところのストレスフリーどころか、ストレスフルな生活が待っているだけです。
■「まえがき」より
タスク管理で最も著名なものはGTD(『仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法』(デビット・アレン(著))にて)でしょう。賛否ありますが、これを意識していない管理手法はないかと考えます。
筆者もこれを強く意識していますが、これはかなり難しい手法です。
その理由は、多くの書籍にも書かれている通り、以下の様なものです。
・特定の時間を使って、頭の中にあるものをすべて出しきることが難しい
・タスクリストを常に「すべてのタスク」がある状態に維持することに多大な労力が必要
・すべてのタスクは「必ずやる」ことが前提
・タスクリストを管理・維持する方法は個人の環境に任されている
・複数のタスクを包含する概念についてその対応方法が明示されていない
・タスクをいつ、どのようにやるのか(いわゆるタスクの実行時間管理)については、個人の裁量になっている
GTDにトライしたことのある多くのかたは、このような点でGTDを諦めた、または中途半端な状態を維持しているのではないかと想像します。
これらに鑑みて、最適なタスク管理システムには以下のような要素が必要だと考えます。
・始めるときに多大な負荷をかけず、タスク管理に完璧を求めないこと
・タスク管理と時間管理をセットで行えるような仕組みであること
・重要なタスクを必ずやり遂げることができるシステムであること
・管理ツールが具体的かつ実用的であること
・仕事だけでなく、あらゆる場面で使用可能であること
本書で述べる「クォータータスク管理法」は、これらを満足する仕組みです。
■クォータタスク管理法のキーポイント
◆集中力は2時間以上は続かない
よく言われることですが、人間の集中力には時間制限があります。一般的には最大で2時間。
本書では、タスクを1時間前後に区切って実施することを推奨しています。そこに2時間の枠を当てはめて、残りの時間で「雑用」をすれば、2時間毎に集中力は復活して効率的に仕事ができるようになるということです。
ここで「雑用」とは、一般的な意味の雑用ではなく、重要なタスクにならなかったすべての仕事のこと。なので、たとえ役員命令であろうと、重要でない仕事は「雑用」です。
◆10万ドルのアイディア
20世紀のはじめころ、世界で一番の金持ちはチャールズ・シュワブという男だった。ある日、ひとりの青年が彼にこう持ちかけた。
「ミスターシュワブ、あなたの貴重な時間を、毎日何時間も節約するのに役立つアイディアがあるんです。すごいアイディアだと確信しているので、お教えします。その代わり、1ヶ月試した後で、効果に見合うとお考えの金額を払っていただけますか」
チャールズ・ソコワブは青年の提案を受け入れ、1ヶ月後に代金を支払った。その額は、なんと10万ドル。現代で言えば1200万ドルをもらうようなものだ。
どんなアイディアか、知りたくないだろうか?
シンプルそのものだが、驚異的な効果を持つそのアイディアとは……。
毎晩寝る前に、明日やらなければならないことのうち、最も重要なタスクを5つ書きだす。そして、ちゃんとタスクをやること。
※『「時間がない!」を卒業する200のアイデア』
◆1日を2時間毎に分けて、スケジューラに登録する
スケジューラに自分へのアポイントメントを入れて、他の割り込みが入らないようにするのはよくあるアイディア。
しかし、多くの人は、これを定例スケジュールではなくタスクごとに予約を入れています。そうするとタスクをやることが確定してから、アポイントメントを入れることになるので、すでに会議など予約を入れられたあとに、自分の時間の調整が必要になります。
最初から向こう1年はこの時間予約を入れておけば、「タスクをやる時間」は確実に確保できます。
◆タスクリストはないよりあった方がいい
タスクリストは、やり忘れ防止程度のメモで十分。雑用の時間には、思いついた順番にやるのが正しい。
なぜなら、「やろう」と思うということは、頭の中でそれが重要だと認識しているから。重要じゃないタスク、やってもやらなくてもいいタスクは忘れてしまったら「それまで」にする。なにしろやっても結果が変わらないのだから。
■目次
◆第1章 タスク・時間管理の原理・原則
脳を疲れさせないタスクの時間と順序制御
午前中は思考能力が高まる
過度な休憩は害悪になる
脳の活動を促進するためには五感に刺激を与える
同じパターンの繰り返しで楽をさせると前向きになれる
ワーキングメモリを浪費させない
集中力を制御する脳の仕組み
集中は最大でも2時間しか続かない
「ゾーン」を生み出す逆U字仮説
課題と自分の能力への自信の相関
感覚としての自分の能力に対する自信
タイムトライアルによって難易度を調整する
スポットライト効果
タスクは時間内にやれるだけやる
CCPM(Critical Chain Project Management)
タスクはいつ始めるかを決めない
時間管理はタスク管理と一緒に完成させる
定型化・パターン化で管理の手間をなくす
スケジュールのパターン登録
タスク管理のパターン化
◆第2章 クォータータスク管理法
クォータータスク管理法 概説
重要タスクを決める
重要タスクの決め方
2時間以上かかるタスク
クラスタリング法
タスク時間のサイクル
残業時間にもサイクルを適用する
休憩時間は雑用をする
雑用時間の使い方
まとめ
◆第3章 クォータータスク管理法 応用編
タスクリストは必須ではない
タスクのメモと置き場
思い出すためのきっかけ(トリガリスト)を作ること
思い出すためのトリガの時間
タスクの賞味期限・消費期限
タスクリストとプロジェクトを同時に管理するマインドマップ
仕事は階層をたどってタスクになる
リストという一次元のシステムでは、階層は管理できない
階層とタスクリストを同時に管理する方法
マインドマップで階層を俯瞰し、タスクの管理をする
OneNoteのアウトライン機能とOutlookでタスク管理する
目的の階層構造から別のタスクを考える
問いを立てて解決方法を考える
割禁―ひとり会議の予約
15分だけ割り込みを許す
時間の使い方の課題分析を活かす方法
時間の記録の手段は自動的に
時間を再利用可能な分析情報にする
時間のズレの原因を探る
TIMTOWTDI(ティムトゥディ)メモ
TIMTOWTDIトレーニング
未来の事象を予測する力をつける
予定のスケジュール、実績のスケジュール
成果が出ない人の1日
スラック(余裕)を作る
PCやスマホのデータを整理する時間をもつ
ロケットスタートのための10分ウォームアップ
探しもの、整理整頓はムダ時間
探さないためのアイディア@―最近使ったファイル
探さないためのアイディアA―shoRtcutフォルダ
探さないためのアイディアB―探さない、検索する
探さないためのアイディアC―GREPツール
探さないためのアイディアD―ファイル名には半角文字を使う
探さない、整理整頓はしない
振り返りの時間を設けない
よくあるタスク管理の失敗と対策
いつまでもタスクが残り続ける
タスクが出せない・少ない
タスクの大きさを適切に制御できない
見積もり通りにタスクが終わらない
計画通りにタスクが実施できない
割り込み仕事や雑用が多くて管理できない
優先順位を正確に意識する
やる気の出るスイッチを作る
●やる気のスイッチ:事実を別の角度から見る
●やる気のスイッチ:過去完了形で未来を語る
●やる気のスイッチ:やりたいことリスト
●やる気のスイッチ:「どうしたら」と聞いてみる
●やる気のスイッチ:自然に体が動くまで、反復する
●やる気のスイッチ:「オレはすごい、何でもやれる」といってみる
●やる気のスイッチ:とにかく手をつける
タスクリストに書き込まないタスク
振り出し最優先の法則
なぜそのタスクが優先なのか?
これからやるタスクの選定理由
選択ルールが変わると効率は落ちる
なぜそのタスクを選んだのか
いま調べなさい、あなたの時間は無限ではない
すぐにやる(ドラッガー 経営者の条件)
時間の塊を作る
時間の塊を作る方法
時間を空間として把握する
作業スピードを上げると集中力が上がる
集中しやすい条件を見つける
脳の働き方における1日のサイクル
アメとムチの法則
マイスケジュールで時間を予約する
周囲のノイズを排除する
視野内に作業中のウインドウだけを表示する
周りを暗くしカーテンで仕切る
音楽の力を利用する
快適な温度を維持する
物をなくす
未来のための時間を取る
今日やるタスクのバブルマップ
■参考図書 『クォータータスク管理法』
◆アマゾンで見る◆ | ◆楽天で見る◆ |
クォータータスク管理法 著者 :影無春雪 | 楽天では見つかりませんでした |
●このテーマの関連図書
■参考図書 『「時間がない!」を卒業する200のアイデア』
立ち読み可 | 「時間がない! 」はビジネスパーソンの永遠の悩み。 さらに現代は、メールにツイッター、フェイスブック、 ネットゲームなど、私たちの貴重な時間を奪うものであふれている。 どうすれば効率よく無駄を減らし、時間を節約できるのか? 英国ナンバーワンのタイムマネジメント術が日本上陸! あらゆる無駄を徹底的に削ぎ落とし、あなたに貴重な1時間をプレゼント。 ●先延ばしを克服せよ ――「やる」と口に出す。そうすれば、やらざるをえない ●隠された時間を発掘せよ ――あの手この手で、ほかの誰かにお任せ ●あなたの時間を奪う「時の盗賊」を撃退せよ ――隠れろ! できなければ無視するべし ●すべてのことを完全に合理化し、簡素化せよ ――オフィスと自宅の両方で ●世界でいちばん大切な人 ――それは、自分自身 「メールチェックはタスクがひとつ終わってから」「会議は45分」 「無駄な仕事は誰かにお任せ」「メールじゃなくて電話する」 「『やらないことリスト』を作る」「ハイテク機器は正しく使う」…… この本を読めば、あなたは確実に、もっと多くの時間を手に入れられる。 実行するかどうかは、あなた次第。 今こそ、「ごちゃごちゃ」「ぐずぐず」ときっぱり縁を切ろう! |
◆アマゾンで見る◆ | ◆楽天で見る◆ |
「時間がない!」を卒業する200のアイデア 著者 :マイケル・ヘッペル | 「時間がない!」を卒業する200のアイデア 検索 :最安値検索 |
●本書を引用した記事
捨てるって気持ちいい
わがままにスケジューリングする
反省するより記録しなさい
バッグインバッグを利用する
健康になる最も簡単なコツ
仕事を仕分ける3つの視点
判断に迷ったら判断基準を聞きなさい
スケジュール・タスク・ToDoを一元化する
仕事の効率を上げるコツ:マルチタスク化するといい効果がある
●このテーマの関連図書
「グズグズ癖」とキッパリ手を切る200のアイデア人生を浪費しないための超…
「時間がない」から、なんでもできる!
「仕事が終わらない!」を抜け出す200のアイデアパンク寸前の自分を守る超…
「要領がいい」と言われる人の、仕事と勉強を両立させる時間術
「できる人」の時間の使い方~なぜか、「時間と心に余裕のある人」の技術と…
ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250
■同じテーマの記事
●仕事のヒントの原理原則を知りたいかたのために
このブログで紹介している仕事の生産性を上げる技術で、ブログではかけなかった、根本的な生産性を挙げるための考え方やその原理・原則が書籍化されました。このブログを訪問してくださった方はそうした技術に興味顔ありだと思います。Amazon の Kindle Unlimited で無料で読むことができます。アマゾンでは、Kindle Unlimited の無料キャンペーンをときどきやっているので、そのときにでもぜひ参加して読んでみてくださ..●仕事のヒントの原理原則を知りたいかたのために
このブログで紹介している仕事の生産性を上げる技術で、ブログではかけなかった、根本的な生産性を挙げるための考え方やその原理・原則が書籍化されました。このブログを訪問してくださった方はそうした技術に興味顔ありだと思います。Amazon の Kindle Unlimited で無料で読むことができます。アマゾンでは、Kindle Unlimited の無料キャンペーンをときどきやっているので、そのときにでもぜひ参加して読んでみてくださ..●捨てるって気持ちいい
過去記事で、整理整頓については何度か書いていますし、仕事のポイントを書いた記事や書籍でも重要だと書かれています。本日ご紹介する『めんどくさがりでもうまくいく時間術』でも書かれていますが、すごくわかり易い文章だったのでちょっとご紹介。"めんどくさがり"と "整理できない" のシンクロ率はものすごい高さです。おおざっばで雑な人は、自分の部屋、会社のデスク、 PC のデスク..ラベル:クォータータスク管理法